日沼諭史の「AI活用入門塾」

チャットを卒業してAIエージェントを使う!「サブエージェント」で完成度の高い成果物を

 今や当たり前の存在になってきたスマホやパソコンで使えるAIツール。まだ本格的に触れたことがない人でも、便利に使いこなすためのヒントをお届けします。

 質問をして回答を得る、よくあるAIチャットの使い方にはみなさんもう慣れたことと思います。でも、本当にAIで仕事を楽にしたい、精度も高めたいのなら、まとまった作業を任せられる「AIエージェント」を使ってみてはいかがでしょうか。

 とはいえ普通のチャットとエージェントとでどう違うのかイメージしにくい人もいるかもしれません。そこで今回は「企画提案資料の作成」を題材に、エージェントを使ってその違いを確認してみたいと思います。

1つのAIに企画案を練ってもらう場合

 会社で何らかの企画を実現したいときは、「市場や業界の動向」、「競合サービスの有無」、「想定するユーザーターゲット」などを調査、確認したうえで、企画会議用の資料を作成し提案する、というのが一般的な流れになるでしょう。

 これをAIに手伝ってもらおうとするなら、たとえば以下のようなプロンプトで指示することになると思います。

【AIチャットに渡すプロンプト例(AI単体)】

AIを活用した新しいサービスを検討・提案するので、企画会議に使う資料を作ってください。
市場・業界動向、競合サービス、ユーザーニーズを調べたうえで、新サービスの方向性と会議で議論すべきポイントを簡潔にまとめてください。

ClaudeのチャットでAIに資料作成を指示

 ここではClaudeのチャットを使いましたが、数分というわずかな時間で企画の方向性をしっかりまとめてくれました。しかし、アイデアの内容は1つだけ。できればより多角的な視点で検討できるよう、複数案の中から選べるようにしたいところです。

 また、単純なテキスト出力なので会議用の資料にしにくいのも課題です。続けて指示すればスライド資料にまとめてくれそうですが、いちいち指示を送るのは手間。スライド作成まで一気に片付けてほしいところです。スキル機能でスライド出力してくれるClaude Cowork(ChatGPTの場合はChatGPT Work)も組み合わせた方がいいかもしれません。

1つのAIが作業を開始
テキスト資料が完成。続けて指示すればスライドも作成してくれそうですが、このようにいちいち指示待ちになってしまいます

「サブエージェント」を使ってスライド作成まで一気通貫に

 次に「サブエージェント」を使うように指示するとどうなるか見てみましょう。複数案を出してもらうこと、スキルでスライド資料にまとめてもらうこと、といった要件も付け加えます。が、最も重要なポイントは明示的に「サブエージェントを使って」と指示することです。

【AIチャットに渡すプロンプト例(サブエージェント使用)】

AIを活用した新しいサービスを検討・提案するので、企画会議に使う資料を作ってください。
市場・業界動向、競合サービス、ユーザーニーズを調べたうえで、その結果から有望なAIサービス案を3つ提案してください。
サブエージェントを使い、調査項目ごとに分担させ、最後に結果を統合してください。

「Cowork」で、「サブエージェントを使って」と指示

 最初に方向性を決めるいくつかの質問に答えると、その後、複数の調査タスクをサブエージェントに割り振って作業を開始します。バックグラウンドで動作しているので細かな動作までは見えませんが、実行中のエージェントを選択するとざっくりどういった作業をしているのかは確認できます。

いくつかの質問に回答すると作業スタート
サブエージェントを3つ立ち上げて、それぞれが情報収集する

 最終的に35分ほどかかって全17ページのスライド資料が出力されました。指示通り3つのAIサービス案を提示したうえで比較評価も行なっており、会議に持ち込んで議論するのに十分な情報が盛り込まれているようです。

およそ35分かかってスライド資料ができあがった
全17ページの説得力あるスライド資料に

 サブエージェントで詳細に調査分析し、メインのエージェントがそれを統合、検証するという多層的な作業により、チャットで出してもらった企画案とはクオリティが雲泥の差になっていることがわかると思います。

もっと手間を減らしつつクオリティを上げる方法も

 今回はあくまでも例として、ざっくりとした指示で資料を作ってもらいました。実際の業務に活かしたいなら、同じ「新しいAIサービス」であっても分野やターゲット、コンセプトなどを絞り込み、会社の強みも考慮したうえで指示すると良さそうです。

 そして、こうしたサブエージェントを使った指示をもう一段工夫することで、ユーザーの手間をさらに削減しながら、AI同士が協調してより自律的に作業させることも可能です。次回はその方法を紹介します。