日沼諭史の「AI活用入門塾」

「プロンプト」とは? AIにいい答えをもらえる書き方の第一歩

 今や当たり前の存在になってきたスマホやパソコンで使えるAIツール。まだ本格的に触れたことがない人でも、便利に使いこなすためのヒントをお届けします。

「プロンプト」の中身次第で回答の質が変わる

 AIに何らかの作業をしてもらう際、多くの場合はテキスト入力して指示することになります。一般的にはチャットスタイルでAIとやりとりするわけですが、このときに入力するテキストは「プロンプト」とも呼ばれます。

 プロンプト自体に決まった書き方のルールはありません。ユーザーが思いついたことをそのまま入力して、AIに判断や処理をしてもらえます。この自由度の高さがAIならでは、と言うこともできるでしょう。

自由なテキストで指示できるのはAIだからこそ

 しかし、AIといえどもコンピューター上で動くプログラムです。AIが理解しやすい、あるいはAIが能力を最大化しやすい書き方、伝え方というのももちろん存在します。そうしたAIへの効果的な伝え方を追求する作業を「プロンプトエンジニアリング」と言います。

 効果的な伝え方で、より適切な答えを引き出す。そうした作業のなかで使える記法の1つが、前回紹介した「マークダウン」です。そして、そのマークダウン記法を活用しつつ、AIが理解や判断をより的確に行なえるようにするプロンプトの書き方もあります。

欲しい情報が得やすくなるプロンプトの書き方

 よりよいプロンプトの書き方は、使用するAIツールやAIモデル(もしくはバージョン)によって異なります。たとえばOpenAIの最新AIモデル(2026年5月現在)であるGPT-5.5では、下記のようなプロンプトの骨組みが例示されています。

【骨組み例】

Role:
[モデルの機能、背景、役割を1~2文で定義する]

# Personality
[口調、態度、協働スタイルを記入する]

# Goal
[目に見える成果として設定したいものを記入する]

# Success criteria
[最終的な回答にあたり満たすべき条件を記入する]

# Constraints
[ポリシー、安全性、ビジネス要件、エビデンス、副作用に関する制限を記入する]

# Output
[回答のセクション数、長さ、トーンを決める]

# Stop rules
[再試行、巻き戻し、回答を控える、質問する、または停止するタイミングを決める]

 これをベースに、あなたの目的に沿った内容に書き換えていくと良いでしょう。1からすべて手で書いていくのもいいですし、いくつかの必須要素や条件を挙げつつプロンプト自体の作成もAIに手伝ってもらうのもアリです。たとえば「SaaS市場への参入」を題材にしたプロンプトだと下記のようなものが考えられます。

【記述例】

Role:
あなたは、日本国内のSaaS市場に精通したビジネスリサーチャー兼戦略コンサルタントです。
中小企業向け業務支援SaaSの市場構造、競争環境、顧客課題、成長余地を整理し、新規参入判断に使えるレポートを作成してください。

# Personality
冷静で分析的、実務に使いやすい説明を重視してください。
不確実な点は明示し、機会とリスクをバランスよく扱ってください。

# Goal
日本国内の中小企業向け業務支援SaaS市場について、市場状況、主要トレンド、競争環境、成長機会、参入リスクを整理したビジネスレポートを作成すること。
読者は、新規SaaS事業への参入可否を判断する経営層です。

# Success criteria
最終回答には以下を含めてください。

- 対象領域の定義
- 市場概況
- 主要な顧客課題
- 主要プレイヤーと競争軸
- 成長機会
- リスクと課題
- 取るべきアクション
- 追加調査が必要な点

単なる情報整理ではなく、「意思決定にどうつながるか」まで示してください。

(以下略)

簡単な指示文でレポート作成してもらった例(一部)。まとめ方や論点がユーザーの想定しているものにならないことが多い
先ほどのプロンプト例でレポート作成してもらった例(一部)。指示に沿った内容にまとめられている

使用するAIツールに合わせてプロンプトを調整しよう

 AIにやってほしいことを長々と「作文」してしまうと、何が重要で、何をしてはいけないか、といった判断がAIにとっては難しくなってしまう場合があります。

 そうではなく、一定のテンプレートに当てはめた形で情報を整理して伝えると、AIが理解しやすく、ユーザーとしても本当に欲しい情報が得やすくなります。

 もちろん使用するAIツールや、AIから引き出したい回答の中身によっては異なる書き方にしたほうがいい場合もあるでしょう。各AIツールのドキュメントで最適なプロンプトの書き方を確認しつつ、試行錯誤を繰り返してプロンプトをブラッシュアップしていく、という作業もAI活用においては重要です。