日沼諭史の「AI活用入門塾」

メール作成よりもっと役に立つGeminiの使い方

 今や当たり前の存在になってきたスマホやパソコンで使えるAIツール。まだ本格的に触れたことがない人でも、便利に使いこなすためのヒントをお届けします。

メール作成以外の効果的な3つの使い方

 Google Workspaceなどのビジネス用のGoogleサービスには、AIアシスタントのGeminiが統合されています(組織のポリシーによって使用が制限されている場合があります)。セキュリティにも配慮されており、仕事にも安心して使えるAIツールです。

 たとえばGmailでは、Geminiを活用してメールの新規作成、返信の作成、受信メールの要約などが可能で、これらはごく一般的な使い方として知られています。

スマホのGmailアプリで使えるGemini。メールボックス全体、もしくはメール単体を対象に作業してもらえます

 ただ、Geminiで実務上違和感のない(ユーザー自身らしい表現などの)メールを作成するのは簡単ではありません。期待するような仕上がりにするには細かく指示しなければならない時もあり、結局自分で最初から書いた方が早かったりします。

 ここでは、そんな風にちょっと苦労する使い方より、もっと簡単で効果的な使い方を3つほど紹介しましょう。

スケジュールを一発でカレンダーに登録する

 仕事上のスケジュールをメールでやり取りして決めることはよくあると思います。だいたいはその内容をGoogleカレンダーと往復してコピー&ペーストし、予定として登録しているのではないでしょうか。

 こういうときは、そのメールを開いている状態でGeminiに「このメールから予定を抽出してカレンダーに登録して」のように指示してみましょう。メールの一連のスレッドから予定として登録すべき要素が抽出され、日時やタイトルなどが設定された状態でカレンダーに登録されます(ユーザーの確認・指示後に登録する形になる場合もあります)。

 手間がかからないうえに、日時を間違えて登録するようなうっかりミスも防ぎやすくなります。ただし、100%正しい内容で登録されるとも限らないので、予定登録後は念のため人の目による確認も必要。海外での予定を登録するときも、時差が考慮されないことがあるのでご注意を。

「予定を抽出してカレンダーに登録して」と指示して少し待てば、登録候補が一覧表示
内容確認後、「はい」をタップするとカレンダーに登録される

要約ではなく「自分に必要な情報」に絞ってまとめてもらう

 メールの「要約」はAI活用の代表例として挙げられますが、本当に実用になる場面は少ないのではないでしょうか。まんべんなく要約してもらうと、自分にとってあまり重要ではない事柄も含まれてしまい、重要性を確認するために改めてメールを見直すことになって、せっかく要約した意味が薄れてしまうことも。

 それよりは、要約の「一歩先」のことを指示した方が、実際の業務では役立てやすくなります。たとえば「このメールから自分のすべきタスクを抽出して」のように、次のアクションにつなげられる具体的な指示をすると良いでしょう。

 仕事とは関係のないメールについても、同じ考え方で処理すると時短につながります。たとえば外国語のプロモーションメールが届いたとき、とりあえずAIで翻訳したくなりますが、翻訳するだけだと全文に目を通すことになります。長々と読んだ末、結局自分にあまり関係のないものだったりすると時間の無駄です。

 こういうときは「このメールの内容から自分のメリットになることだけ整理して教えて」などと指示するのがおすすめです。必要な情報に絞った形で提示してもらえるので、より短時間で意味のある情報を収集できる可能性が高まります。

「このメールから自分のすべきタスクを抽出して」で今後のやるべきことを教えてくれる
英語メールに対して「自分のメリットになることだけ教えて」とすれば、日本語に翻訳したうえで自分に役に立つ情報かどうか判断しやすくなる

1日や1週間の終わりに見落としがないかチェックする

 いくら気を付けてメールをチェックしていても、大量にメールをやり取りしていたり、忙しい時期に入ったりすると、返信が必要なメールを見落としてしまうことがあります。返事が遅れたばかりに大事なプロジェクトがポシャってしまった、なんてことになれば一大事です。

 そうならないように、1日の仕事の終わりや、週末に入る直前など、定期的に「今日(今週)のメールで返信しておくべきものがないか確認して」のようにGeminiに指示する習慣をつけておくと安心です。相手からの質問メールに対して回答していないものなど、自分側にボールがあるメールをすかさず見つけて教えてくれます。

 また、これと似たような使い方として、一定期間のメールマガジンやニュースリリースなどをまとめて読めるダイジェストを作ってもらう、というのもアリ。忙しいなかでも効率よく情報収集できるはずです。

返信し忘れがないか定期的にチェックするのがおすすめ
メルマガをダイジェストにしてもらって効率よく情報収集

業務内容に合わせてアレンジして活用しよう

 AIにメールを作ってもらうのに抵抗がある、というのは、手書きの手紙を大切にする感覚で、メールは自分の手で書くもの、というイメージが刷り込まれているのも原因かもしれません。

 そこから脱却するのにはまだ時間がかかりそうですが、今回紹介したようなメール作成以外の部分でGeminiを活用するのは、自分側で完結する内容でもあり、気軽に試しやすいものだと思います。現実の自分の業務内容に合わせてアレンジしつつ活用してみてください。