日沼諭史の「AI活用入門塾」

AIに自分のことを覚えてもらってプロンプトを劇的に短く!

 今や当たり前の存在になってきたスマホやパソコンで使えるAIツール。まだ本格的に触れたことがない人でも、便利に使いこなすためのヒントをお届けします。

 前回はChatGPTの「エージェントモード」の使い方を紹介しました。仕事で出張が決まったときの準備を例にしましたが、そのなかで少し不便だったのが、自分の好みや住んでいる場所など、前提となる条件をその都度細かくプロンプトに含めなければいけなかったことです。今回はそれを解決する「メモリ」と「カスタム指示」について解説します。

「メモリ」とは?

 ChatGPTのメモリは、主にユーザーの趣味嗜好のようなプロフィールを記憶するのに向いた仕組みです。ChatGPTはその内容を踏まえてチャットで回答するようになっています。

 設定画面で機能を有効にすると、チャット履歴やChatGPTとの普段のやり取りのなかでユーザー個人にひもづくと思われる情報があったときに、随時メモリ内容を更新していきます。

 また、チャットで「~を覚えておいて」と伝えることで、簡単にメモリに情報を追加することもできます。設定画面ではメモリに記録されている情報を要約の形で確認でき、そこで情報を修正したり追加したりすることも可能です。

チャットで「~を覚えておいて」とすればメモリに記憶されます
設定画面ではChatGPTが把握しているユーザーのプロフィールなどを確認可能

 長期的にあまり変化のない個人情報を覚えてもらうのに適している機能なので、たとえばエージェントモードで出張の準備を楽にしたいときは、それに関連しそうな居住地域や、ホテルの禁煙・喫煙室、新幹線の窓側・通路側といった好み、あるいは宿泊費・経費の上限などを覚えておいてもらうと良いでしょう。

「カスタム指示」とは?

 それに対してカスタム指示は、ChatGPTではかなり初期からある機能で、チャットでやり取りするときに常に反映しておきたい基本的なルールを決めておけるものです。

 たとえば「回答時、言葉の末尾には必ず最後に○○を付ける」というようなルールを設定すれば、チャットでやりとりする際のChatGPTの言葉遣いを変えたりできます。

カスタム指示の設定画面。会話のトーンなどもある意味カスタム指示の範疇ですが、アプリでは簡単に設定できるようになっています

 前回のプロンプト例で言えば「不明点は一般的なビジネス出張として仮定」、「外部サービスへの登録・作成前だけ確認する」といった文章をカスタム指示として登録しておくことが考えられます。

 さらに、出張時の手続きや行動がだいたい同じパターンになるのなら、「交通手段、必要なら前泊ホテル、お土産、行程表、カレンダー登録案、出張申請書案までまとめてください」の部分まで登録するのもアリです。

メモリ、カスタム指示を使うとプロンプトはどうなる?

 以上のメモリとカスタム指示を必要なだけ設定しておくことで、プロンプトの文章量を削減しながら豊富な情報をChatGPTに与えることができ、より自分にマッチした回答を得られる可能性が高くなります。ここでもう一度、前回のプロンプト例をおさらいしてみましょう。

【前回のプロンプト例】

6月30日に名古屋出張があります。朝8時から15時まで名古屋駅周辺で仕事をし、できれば当日中に東京へ戻りたいと思います。

交通手段、必要なら前泊ホテル、お土産、行程表、カレンダー登録案、出張申請書案までまとめてください。
不明点は一般的なビジネス出張として仮定し、外部サービスへの登録・作成前だけ確認してください。
(158文字)

 これに対して、メモリ・カスタム指示を設定した場合のプロンプト例は以下のようになります。

【メモリ・カスタム指示を設定した場合のプロンプト例】

6月30日、名古屋出張、朝8~15時まで、当日帰京希望
(27文字)

 たったの1行、30字に満たないプロンプトで出張計画を立ててくれるようになります。出張のたびに変わる可能性がある日付や場所、用事のある時間帯など最小限の「変数」だけをプロンプトで指示するだけでよくなるのです。

 この長さならスマホからでも楽に入力できますし、サクッと音声入力してしまうのも良さそうです。似たようなタスクをこなすことが多いのであれば、メモリやカスタム指示を適切に設定してChatGPTの使い勝手を一層向上させてみてはいかがでしょうか。