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サイバー攻撃にAIで対抗する「Google AI Threat Defense」

「Google AI Threat Defense」に関する記者説明会での質疑応答

 Google Cloudは7月31日、「Google AI Threat Defense」に関する記者説明会を開催した。説明会には、グーグル・クラウド・ジャパン 代表の三上智子氏、Google Cloud Security & Mandiant CTOのスティーブ・レザン氏、グーグル・クラウド・ジャパン 執行役員 カスタマーエンジニアリング統括の渕野大輔氏が登壇。特別ゲストとしてIDC Japanのネットワーク&セキュリティリサーチマネージャーである山下頼行氏も招かれ、AI時代のサイバーセキュリティの現状と今後の対策が紹介された。

 Google AI Threat Defenseは、AIの発展に伴って高まるサイバーセキュリティのリスクに対抗するため、Googleが自社の運用ノウハウを顧客に提供するソリューションとなる。Googleでは月間数万件以上のセキュリティレポートを処理しているが、AIを活用することでその処理時間を90%以上削減した実績を持つ。この知見を顧客に提供すべく5月に発表されたのが同ソリューションであり、国内ではNEC、日立製作所、富士通、グローバルではNTTデータ、デロイト、アクセンチュアといったパートナー企業と連携して展開される。

グーグル・クラウド・ジャパン 代表の三上智子氏

 最初に登壇した三上氏は、サイバーセキュリティの脅威に対する企業の関心の高さを強調。「AIの力によるサイバーセキュリティの脅威というものには本当に危機感が持たれており、関心の高さを強く感じている」と述べた。さらに、すでに多くの顧客から強い引き合いがあることを明かし、AIによるコード修正機能などを持つエージェント「CodeMender」については、「主要なメガバンクの皆さまには事前に展開し、検証もしていただいている」と語り、日本市場における導入が着実に進んでいることに自信を見せた。

 続いて登壇した山下氏は、日本のサイバーセキュリティの現状とエンタープライズにおける重要なポイントについてプレゼンテーションを行なった。今年3月の調査時点ではランサムウェアへの懸念が最も高かったが、4月以降はいわゆるフロンティアAIの脅威に注目が集まっているという。

IDC Japanのネットワーク&セキュリティリサーチマネージャーである山下頼行氏

 特に大企業においては、AI生成コードの脆弱性に対する懸念が大きい状況で、AIの脆弱性発見能力の向上に伴い、各社から大量の修正プログラムが提供される「Patch Wave(パッチの津波)」が起きており、人手での対応は到底追いつかない状況となっている。そのため自動化の必要性が高まっているものの、ユーザーの約半数はセキュリティ運用の自動化を許容できていない。

 同氏はこうした状況に対し、自動対処の根拠を説明可能にする設計、人とAIの役割分担、実績の開示という信頼の3要素を満たす設計が重要であると指摘した。

 レザン氏と渕野氏は、AIを活用した具体的な防御策について説明した。レザン氏は、攻撃者もAIを利用している点を指摘し、脆弱性が認識されてから攻撃されるまでの期間がわずか1.6日にまで劇的に減少していると警告。これに対抗するため、サイバー防御者もAIを活用してスピードを上げる必要があると語った。

Google Cloud Security & Mandiant CTOのスティーブ・レザン氏

 渕野氏は、Google社内での検証結果を踏まえ、AI防御を実現する要素として「モデル」、「エージェント(駆動装置)」、「ハーネス(安全装置)」の3つを挙げた。特に、エージェントの稼働を制限し証跡を取得するハーネスの重要性を強調している。

グーグル・クラウド・ジャパン 執行役員 カスタマーエンジニアリング統括の渕野大輔氏

 また、AIを用いて単にスキャンを行なうだけでは大量の脆弱性が発見されてしまい、全てを修正することは不可能であるため、可視化と優先順位付けが不可欠であると説いた。

 それでもレザン氏は「サイバー防御者の方が自身の環境やネットワークについてより多くのコンテキストを持っている」と述べ、防御者側に優位性があることも強調していた。

「Google AI Threat Defense」の概要

 質疑応答では、対応環境についてはGoogle Cloudに限定されず、マルチクラウド環境で機能することにも言及された。他社のセキュリティ製品との関係については、既存のセキュリティ投資を保護し、最適化する補完的な位置づけであるという。

 競合他社のソリューションに対する自社の優位性について渕野氏は、「単純にスキャンをしてパッチを当てるのではなく、いかに優先順位をつけて生産的にやっていくかが大きな違いだ」と語り、すでにGoogle社内で実践されている手法である点に強い自信を見せていた。