日沼諭史の「AI活用入門塾」

Claudeの「アーティファクト」って何? Webや提案書の「ひな形」に使ってみよう

 今や当たり前の存在になってきたスマホやパソコンで使えるAIツール。まだ本格的に触れたことがない人でも、便利に使いこなすためのヒントをお届けします。

 AIツールのClaudeには「アーティファクト」という機能があります。「artifact」を直訳すると「人工物」や「遺物」ですが、ここでいうアーティファクトは「資産」もしくは「成果物」といった意味合いに近いものになります。この機能を使うと何がどう便利になるのか、紹介しましょう。

「成果物」だけを公開・共有できる

 アーティファクトは、Claudeのチャットなどを通じて作り上げた「物」そのものです。チャットで指示してWebページやWebアプリなどを作ってもらったりすると、そのチャットのやり取りを含む最終的な成果物がアーティファクトとして登録されることがあります。

チャットでWebコンテンツを作成すると、アーティファクトの一覧画面に追加されることがある

 最初から明示的にアーティファクトとして新規に作り始めることもできます。が、通常のチャットで相談しながら作っていくのと結果的には変わりません。

 また、アーティファクト画面一覧に表示される自分で作ったものについては、チャットの実体にすぐにアクセスできる「ブックマーク」的なものでしかありません。そのため、自分1人だけがClaudeを使っている限りは価値を感じにくい機能ではあります。

アーティファクトを新規に作成することもできるが、通常のチャットから始めるのと大きな差はない

 では、アーティファクトの何が一番便利なのかというと、その成果物「だけ」を他の人に公開できることです。そして、他の人はそれを元に独自にブラッシュアップしていくこともできます。

 仮に自分でClaudeと相談しながらWebページを作ったとします。HTMLやJavaScript、SVG画像などからなるWebコンテンツができあがり、それをアーティファクトとして公開してリンクを共有すると、他の人がそのWebコンテンツをClaude上で見ることができます。

コンテンツができあがったら「アーティファクトを公開」
リンクを知っていれば誰でもアーティファクトを閲覧できる

 作った本人がやりとりしたチャットの内容は他の人には見えません。成果物としてのWebコンテンツだけを見ることができます。しかしそれを「コピー」すれば、他の人も独自にチャットでやり取りして作り変えていくことが可能です。

社内で使うWeb・資料のテンプレート作成に効く

 こうしたアーティファクトの用途として考えられることの1つが、テンプレート的に使うというものです。作成したWebコンテンツのデザインエッセンスだけを残してアーティファクトとして公開し、社内で共有することで、各部署で統一したデザインのWebページを作りやすくなるでしょう。

 また、提案書のひな形を作るのにも役立てられます。アーティファクトが直接扱えるのはWebコンテンツですが、Claudeのスキルなどと組み合わせることでPowerPointをはじめとするオフィス文書としても出力することができます。

作成済みスライド資料から仕様書アーティファクトを作成してみる

 たとえば作成済みのWebコンテンツや提案資料があるなら、それを参照させたうえで下記のようなプロンプトで仕様書のような形にします。

【スライド資料を元にアーティファクト化するプロンプト例】

この提案書から、デザインの定義だけを取り出して1枚のHTMLにまとめて。内容は含めず、以下を並べた見本ページにする。

カラーパレット(色コードと用途)
フォントサイズの段階(大見出し/中見出し/本文/注釈、それぞれのptと行間)
表紙・章扉・本文・図解・表の各レイアウトを空の枠として
見出しと本文の余白ルール
表とグラフの基本スタイル

 これをアーティファクトとして社内で共有しておけば、他のメンバーがひな形として活用できます。コピーしたうえで新規の提案書の内容をチャットで指示するだけで、統一的な見た目のスライドとして出力できるわけです。

アーティファクトとしてできあがった提案書のデザインの「仕様書」
公開へ。法人向けの「チーム」以上のプランなら社内限定の共有も可能
共有リンクからアクセスすると他のユーザーも参照できる

 規模の大きな会社になると、ブランドガイドラインなどのコーポレートアイデンティティに関わる決め事を細かく定めていたりします。アーティファクトはそうしたルール作りの補助に利用できるでしょう。社内の誰もが共通ルールのもと作業しやすくなる、という意味でも活用しがいのある機能です。