AI用語の基礎知識

【第15回】「トークン」とは――AIの料金や“読める長さ”を左右する“ことばの単位”

トークンの簡単な概念 (筆者がChatGPT Image 2で生成)

 AIのサービス説明や料金表、ニュースなどを見ていると「トークン」という言葉が頻繁に出てきます。たとえば、最近のニュース記事。

1ドルあたりのパフォーマンスが向上「GPT-5.6」正式リリース」から

 利用料は、3つのモデルサイズで100万トークンあたりの価格が設定されており、「Sol」は入力5ドル/出力30ドル、「Terra」は入力2.50ドル/出力15ドル、「Luna」は入力1ドル/出力6ドル。

Claude Platform Docs」から

機能Claude Fable 5Claude Opus 4.8Claude Sonnet 5Claude Haiku 4.5
コンテキストウィンドウ1Mトークン1Mトークン1Mトークン200kトークン
最大出力128kトークン128kトークン128kトークン64kトークン

 さらっと「100万(1M)トークン」いくら、最大「128Kトークン」まで、というような表現が出てきますね。いったい、このトークンとは何でしょう?

AIは文章を「トークン」に分けて読む

 トークンとは、AIが文章を処理するために分ける単位です。

 【第4回】「LLM(大規模言語モデル)」でも少し触れましたが、生成AI(LLM)は、文章をそのまま“意味”として読んでいるのではなく、まずトークンに分け、それぞれを数値に変換し、その関係をもとに、次に来そうなトークンを予測し、それを繰り返すことで文章を生成しています。

 ただ、トークンは文字数でも単語数でもありません。人間にとっての「文字」や「単語」と完全に同じではなく、たとえば、

「私は車を使います」

という文章であれば、人間には8文字の日本語文に見えますが、AIの内部では、

「私」「は」「車」「を」「使い」「ます」

のような単位に分けられたりします(実際の分け方はAIモデル・トークナイザーによって異なります)。

 また、日本語の「こんにちは」が1トークンになることもあれば、複数トークンに分かれることもあったりしますし、英語でも、よくある単語が1トークン、珍しい語や長い語は複数トークンに分かれることなどもあります。つまり、トークン数は、見た目の文字数と完全には一致しません。

トークン数は料金や「読める長さ」に関係する

 長い資料を読ませたり、長い回答を出させたり、長いチャットの続きを扱わせたりすると、それだけ多くのトークンをAIは処理することになります。

 長い文章を入力すれば入力トークンが増え、長い回答を出させれば出力トークンが増えます。人間にとっては「少し長めの文章」に見えても、AIにとっては大量のトークンを処理する仕事になることがあります。

 このため、トークン数はAIの料金や、一度に読める文章量に関係します。冒頭で紹介した「100万トークンあたりの価格」や「コンテキストウィンドウ 1Mトークン」、「最大出力 128kトークン」といった表記は、AIがどれだけの量を処理できるか、またその処理にどれだけ費用がかかるかを示しているわけです。

 100万トークンというと、日本語でもかなり長い文章量で、文庫本数冊分に相当することがあります。ただし、トークンは文字数そのものではないため、文章の種類やモデルによって大きく変わります。

トークンを知るとAIの制約が見えてくる

 トークンは、AIの内部だけで使われる難しい専門用語に見えます。しかし実際には、AIが一度に読める量、回答できる長さ、処理にかかるコストを左右する、かなり実用的な単位でもあります。

 トークンを知っておくと、「このAIはどのくらい長い文章を読めるのか」、「長い資料を読ませるとなぜ料金が増えるのか」、「なぜ長い会話の途中で、前に話したことを忘れたように見えるのか」といった、AIの制約も見えやすくなります。

 AIをうまく使うには、質問の内容だけでなく、AIにどれだけの量を読ませ、どれだけの長さで答えさせるかも大事です。その目安になる単位が、この「トークン」なのです。

筆者の脳の中では、「トークン」=「融けていくお金」というイメージが……ううむ(筆者がChatGPT Image 2で生成)