インタビュー
KDDIの「Buffmee」が拓くコンテンツとAIの未来
権利保護と新たなユーザー体験の両立へ
2026年9月4日 15:06
AI技術の急速な進化に伴い、出版物やWebメディアのコンテンツが無断で学習データとして利用される問題が浮き彫りとなっている。こうした社会課題に対し、正規の許諾を受けたコンテンツホルダーのデータをもとに、信頼性の高い情報提供を目指すのがKDDIのAIサービス「Buffmee(バフミー)」だ。
単なる大規模言語モデル(LLM)との対話にとどまらず、ポッドキャスト生成や問題演習など、コンテンツの価値を再構築(リデザイン)して届ける点に大きな特徴を持つという。
今回は、KDDI 事業創造本部 本部長 兼 経営戦略本部 副本部長の長谷川渡氏と、事業創造本部 AIプロダクト部 部長の木村塁氏に、サービスの立ち上げの背景やこだわり、今後の展望について伺った。
――まず、新たに開始されたBuffmeeの概要と、企画立ち上げの背景について教えてください。
木村氏:我々のサービスは基本的なAIチャットの形をとっていますが、一般的なLLMとただ対話するのではなく、コンテンツパートナーさまからお預かりしたデータに基づいて回答を提供するのが大きな特徴です。昨今のAIによる出版物やWebメディアのデータの無断学習という社会課題に対し、適切な形でアンサーを出したいと考えたのが始まりです。昨年の夏頃に社内の新規サービスプロジェクトからアイデアが生まれ、Google Cloudさんとの戦略的提携とも足並みを合わせながら準備を進めてきました。
――ChatGPTやGeminiなどの汎用AI、あるいはGemini Notebook(NotebookLM)のような既存ツールとの違いや、開発上のこだわりについてはいかがでしょうか。
木村氏:単に情報を検索・抽出する一般的なRAG技術にとどまらず、出版社さまやメディアさまが大切にされている世界観やテイスト、前後の文脈を尊重し、プロンプトの裏側で細かく工夫を凝らして表現している点です。
また、ユーザーがコンテンツを持ち込んでアップロードする手間を省き、定額で信頼できる膨大なコンテンツをシームレスに利用できるようにしています。チャットだけでなく、ポッドキャスト形式での情報配信や資格本などの問題演習といった多様なアウトプットを提示しているのも独自の強みです。
――サービスのリリース後の反響や実際の利用傾向、見えてきた課題について教えてください。
木村氏:本格的なプロモーション前ではありますが、アプリのダウンロード数は5000~10,000ぐらいになっています。鉄道ファン向けコンテンツをはじめとする深くニッチな情報を持つメディアで高い継続率が確認できており、狙い通りのコンセプトが伝わっている手応えがあります。
一方で、会員登録後にユーザーが最初にどのコンテンツを選べばよいか迷ってしまうという離脱の課題も見えてきました。その課題に対しては、図書館の司書のように「この情報ならこの本に書いてある」と横断的に案内し、各コンテンツへスムーズに誘導できる横断検索機能を開発中で、秋頃の提供を目指しています。回答を直接混ぜ合わせるのではなく、著作権に配慮した形で提示する見せ方にもこだわっています。
実はサービスを企画していた当初は写真や画像も含めてサービスとして提供することを想定していました。しかし、コンテンツパートナーさまと相談する段階になって、文章は問題ないが、写真や画像は権利許諾の面で難しいとの回答をいただいたのは想定外でした。
まずはテキストデータ中心でのサービス提供になりますが、パートナーの皆さまと協力しながら、ユーザーはもちろん、権利者の皆さまにもメリットがある仕組みを作っていきたいと考えています。
――Buffmeeのオススメの使い方は?
木村氏:ポッドキャストが分かりやすいかもしれません。ニュースなどの記事を聞くだけでまとめて取り入れられます。継続率が高い使い方で、自分でも一番使っている機能です。
資格取得に取り組まれている方には問題演習の機能もオススメです。資格本の中にも問題は書かれていますが、問題を解けば解くほど安心感にもつながります。ぜひ使っていただきたい機能です。
申込日から1年間は月額980円のプレミアムプランを無料で利用できるキャンペーンも実施しているので、まずはアプリをダウンロードしてお試しいただければと思います。
――生成AI特有のハルシネーション(誤情報)対策や、コンテンツごとの品質担保はどのようにコントロールされているのでしょうか。
木村氏:プロンプトのチューニングに加え、コンテンツごとに多段的なチェックと評価を行なう仕組みを構築しています。150以上のコンテンツそれぞれに合わせたプロンプトを用意し、人手でチェックすべき視点を固めた上で、AIによる自動検証サイクルを回しています。嘘をつかない安全性を確保しつつ、回答が保守的になりすぎてユーザー体験を下げないよう、バランスの取れたチューニングで日々改善を図っています。
――エージェンティックAIのようなトレンドについてはいかがでしょうか?
長谷川氏:例えば、旅行のコンテンツであれば、「3泊4日のプランを作って」と指示を出して、その後に手配もしてくれるというのは、まさにエージェンティックAIがやっていく世界です。Buffmeeとよく似たコンセプトのプラットフォームをやろうという方もいらっしゃいますので、その競争の中でどう生き残っていくかを考えた時には重要になってきます。
――参加するコンテンツホルダーにとっては、いかにマネタイズしていけるかも重要ですね。
長谷川氏:現在はテキスト中心のサービスになっているので、サービスを活用されている方をオリジナルの電子書籍や紙の書籍の購入へ誘導するようなことは考えられるかもしれません。元々のコンセプトとして検索性を上げたいという話があったのですが、それが音楽であったり、映像であったりしてもいいわけです。先ほど横断検索の話が出ましたが、昔のテレビ番組だとか、あのシーンをもう一度見たい、となったら、いくらか払ってもいいと考える方もいらっしゃるでしょう。
――最後にBuffmeeの将来像についてお聞かせください。
木村氏:出版界などのステークホルダーと協力し、AI時代における適切な収益還元や権利保護の文化を作っていくことが大きなテーマです。今後は雑誌などの画像許諾の拡大や、KDDIが展開する金融など既存サービスとBuffmeeのナレッジを融合させた新たな体験の提供も検討していきます。
Buffmeeはコンテンツホルダーの皆さまとの強固なリレーションを軸に、質の高い情報を安全かつ魅力的に届けるプラットフォームとして独自の進化を遂げていきます。
――ありがとうございました。









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