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RLWRLD、力や触覚、作業記憶で器用さを獲得したロボティクス基盤モデル「RLDX-1」

「RLDX-1」のデモンストレーション

 フィジカルAIの基盤モデルの開発を行なうRLWRLD(リアルワールド)は5月26日、ロボティクス基盤モデル「RLDX-1(リアルデックス)」を使用したヒューマノイドのデモンストレーションを披露した。

 同社は、KDDI、ANAホールディングス、三井化学、島津製作所といった日本企業からの支援を受け、フィジカルAI向けの技術開発を行なっているが、RLDX-1では、一般的なVLA(Vision-Language-Action)モデルで用いられる視覚、言語に加え、力(トルク)や触覚、作業記憶までを単一のモデルで処理する「Dexterity-First」設計を採用することで、人間のような器用さの実現を目指している。

 創業者兼CEOのリュ・ジョンヒ氏は、「Dexterity is Intelligence(器用さこそ知能である)」という信念の下、フィジカルAIの基盤モデルの開発に取り組んでいるとした上で、「真のAIとは、言語を理解するだけでなく、相互作用と操作を通じて物理世界を理解するものであるべきだと信じている」と語る。

創業者兼CEOのリュ・ジョンヒ氏(右)と日本法人代表のイ・フン氏(左)

 同氏によれば、「π0やGR00Tといった主要モデルをDexterityベンチマークで上回る結果を出した」とのことで、同社のチーフサイエンティストで、KAIST AI大学院 教授でもあるシン・ジンウ氏にバトンタッチし、同社の技術のユニークさが説明された。

 シン氏は、「ここ数年、AIは言語、画像、生成の領域において目覚ましい進化を遂げてきた。しかし、未だに本当の意味での壁が残っている領域がある。私たちが手で行なう仕事だ」と述べ、その具体的な例として、「カップにコーヒーを注ぐ、ケーブルを差し込む、小さな部品を組み立てる。私たちがごく自然に感じている動作だが、ロボットにとっては最も難しい課題の一つであり続けている」と指摘する。

同社チーフサイエンティストで、KAIST AI大学院 教授でもあるシン・ジンウ氏

 こうした課題を解決するために同社が提案するのが、視覚、触覚、力、記憶のすべてを同時に組み合わせるという方法だ。同氏によれば、「RLDX-1は8つのシミュレーションベンチマークにおいて最高水準の性能を達成し、産業の現場に投入できるレベルに到達している」とのことだが、「RLDX-1はゴールではなく、出発点だ」として、さらに研究開発を重ねていく方針を示した。

 続いて登壇したのは、日本法人代表のイ・フン氏。同氏は、改めてさまざまなベンチマークにおいてRLDX-1がNo.1になっていることや、従来のVLAモデルにおける課題を説明し、それを拡張することで繊細な動きや将来の行動を予測して動く能力を実現していることを紹介した。

 製造や物流といった現場への実装を想定し、3段階のトレーニングステージを経て適応を強化しているとのことで、ベルトコンベア上を流れる箱とマウスを拾い、箱の中にマウスをしまったり、ケトルからカップにコーヒーを注いだりするデモンストレーション映像も披露された。前者の場合、箱の中にマウスをしまう際には自身の手で視野が遮られてしまうが、それを触覚で処理。後者も左右の手で重さを感じながら注ぐといった、人間的な感覚を活かすことでうまくこなせるという。

 同氏は、今後のロードマップとして、2026年第4四半期にエッジケースに対応する視覚プランニング機能を搭載したRLDX-2、2027年第1四半期にマルチモーダル状態の統合・予測が行なえるRLDX-3をリリースする計画であることを明らかにした。

 このほか、今回の発表会では、KDDIが傘下のローソンや物流倉庫などでの活用を目指して実証を重ねていることや、介護市場や家庭への導入を目指してオープンソースのロボットアーム基盤となる「OpenArm」を開発しているEnacticの取り組みも紹介された。

 プレゼンテーションの終了後には、実機を使ったデモンストレーションが披露された。ベルトコンベア上に配置された仕様の異なる2台のロボットで黒と緑の物体を分別するという内容で、それぞれのロボットの頭部には視覚を司るカメラが搭載されており、物体の形状や色を検知し、1台はベルトコンベア上に物体を乗せる作業、もう1台は流れてきた物体を分別する作業を受け持つ。

ベルトコンベアに乗せるロボット
ピックアップして分別するロボット

 時折、物体を取り損ねる場面もあり、現場への実装にあたっては、まだまだトレーニングを重ねる必要がありそうだが、ピックアップ位置がバラバラな状況にも臨機応変に対応する様子が確認できた。

RLDX-1のデモンストレーション