レビュー

ディスプレイを搭載しつつ普通のメガネにしか見えない「Even G2」

Even G2

「Even G2」というスマートグラス製品をご存知だろうか。Even Realitiesという中国のスタートアップ企業が手掛ける製品で、まだ2世代目のモデルではあるが、普段使いできる重さ・デザインながらレンズ内にディスプレイを搭載しており、大手メーカーのスマートグラスに負けない完成度と実用性を兼ね備えたスマートグラスとなっている。

 日本人ユーザーも多い製品でもあり、製品のUIや公式サイトも日本語対応しているし、Even G2は日本国内の提携店舗や家電量販店でも販売されている。原稿執筆時点での公式サイトでの価格は659ドル(約10万円)で、度入りレンズは179ドル(約3万円)。ヨドバシカメラでは99,800円となっている。今のところサブスクリプション料金がかかるような機能・サービスはない。

 気軽に買える価格ではないが、この手のデバイスが大好きな筆者は、発表即予約購入し、数か月使ってきたので、その使い勝手や、そもそもどういったデバイスなのかを含めてレビューをお届けしたい。

Even G2は、スマートグラスとはどんなモノなのか

Even G2。着用時の撮影モデルがオッサン(筆者)となることもご了承いただきたい

 Even G2は「スマートグラス」や「ARグラス」「AIグラス」などと呼ばれるジャンルの製品となる。が、実のところこの製品ジャンル、まだ登場したてで定義もハッキリしていない。本稿では筆者なりの解釈となることをご了承いただきたい。

 多くのスマートグラス製品に共通する要素は、「常時着用できるような普通のメガネに近い重量・デザインであること」だ。常時着用できる重量・デザインを実現するために、スペックや機能はギリギリまで切り詰められている。切り落とされたスペックや機能をAI技術でカバーしたり、そもそも生成AIのインターフェイスに機能を限定したりしている製品も多く、「AIグラス」などと呼ばれることもある。

左はXreal Air(旧称Nreal Air)。右のEven G2とは異なり、普通のメガネとして使うのは無理がある

 メガネやゴーグル型のデバイスとしては、ヘッドマウントディスプレイのXREALシリーズやXRゴーグルのMeta Questなどの製品がある。それらの製品は、映像コンテンツや3Dコンテンツを楽しみたいときに取り出し、着用するモノだ。常時着用するモノではない。

 一方のスマートグラスは、使っていないときも着用しっぱなしという、腕時計やスマートウォッチに近いモノとなっている。着用しっぱなしにすることで、必要なときにすぐにアクセスできるし、使い終わったらしまう必要もなく、メッセージ通知などデバイス側からのアクションをいつでも受けられる。常時着用するスマートグラスとそうでないXRゴーグルなどは、一緒くたにされることもあるが、全く異なるジャンルの製品だ。

 Even G2は、普通のメガネに近い重量・デザインだが、透過型ディスプレイを搭載している。そのディスプレイに、ペアリングしたスマホ経由で生成AIが処理したテキストを表示したり、天気やニュースを表示したり、スマホの通知を表示したりする。マイクも搭載していて、リアルタイム翻訳や生成AIチャットも利用できる。

 一方で音楽や音声を再生できるスピーカーは搭載しない(ビープ音は鳴る)。また、カメラも搭載していない。カメラやスピーカーを「現行世代では不要」と割り切ることで、常時着用できるサイズを実現しているのがEven G2の特徴である。

デザインはほぼ普通のメガネ、でも着用感はそこまで良くない(個人の感想です)

横から見ても不自然な厚みやフレーム形状になっていないのがスゴイ

 Even G2のデザインは、ほぼほぼ普通のメガネだ。見た目だけではディスプレイ内蔵とは判別しにくいが、レンズの一部が導光板らしきものになっている。角度が合えば外からも光っているのがわかるが、着用者以外が表示内容全体を見ようとすると、レンズから瞳孔まで2cmくらい、キスの間合いにまで近づく必要がある。

 現状、デザインはAタイプとBタイプの2形状、カラーは灰色/茶色/緑色の3色から選べる。筆者はBタイプの灰色(Grey1)を選択した。セルフレーム系のデザインで、フレームにディスプレイデバイスなどが隠されていて目立たない。ちなみにIP65の防塵・防水に対応するので、小雨程度ならば耐えられる可能性が高いが、水に沈む状況には対応できない。

付属の充電ケース。USB-Cで充電する。普通のメガネケースに比べると厚みがある

 充電は専用のメガネケースで行なう。ヒンジ部に電極が隠されていて、畳んで収納すると充電できる仕組みだ。充電ケースはけっこうデカいが、充電ケース自体もバッテリを内蔵していて、電源に接続しないでも最大7回分の充電ができる。

 購入時に自分の視力に合わせた度入りレンズをオーダーできる。というか、度入りレンズとディスプレイが完全に一体化しているので、メガネが必要な人は、視力に合わせたレンズがないと使い物にならない。ただし公式サイトで購入できるのは単焦点レンズのみだ。

 累進式の遠近両用レンズが欲しい場合は、提携取り扱い店舗でオーダーできるとのことだ。日本では現在4店舗が提携取り扱い店舗となっているので、我が同胞たるローガンズ諸兄は提携店舗に相談しよう。筆者は日本での取り扱いが開始する前に予約購入したので単焦点レンズなのだが、iPadで漫画を読むときにルビが読みにくくて困っている。

筆者のEven G2は実測で44.4g。レンズの仕様で重量は変化する模様
筆者が普段使っているメガネは20g未満だが、JINSのAirframeという比較対象としては卑怯なくらいの軽量特化製品ではある

 筆者の度入りレンズ込みのEven G2の重量は、実測で44.4g。軽量なメガネだと20gくらいなので、それに比べるとやや重たいが、たとえば筆者が持っているルディプロジェクトのエクセプションは44.6gなので、ごっついサングラスであればあり得る程度の重さでもある。長時間着用しても重たいと感じるような重量ではない。

ツルの後端にもデバイスがあるのだが、ツル自体の形状も相まってつけ心地は最良とは言えない

 しかし筆者の頭部形状には合わないのか、長く着用していると耳が痛くなる。メガネの左右ツルが薄い板状なのだが、そこが耳たぶの付け根にあたって痛いのだ。ツルの形状も調整はできない。自宅でリラックスしているときに着用したいメガネではない。

 また、これも個人差のある話かもしれないが、iPhoneの顔認証機能「Face ID」とは相性が悪い。マスク着用時にはメガネを含んだ顔面登録が必要となるが、筆者の場合、Face IDがEven G2をメガネとして認識せず、登録できない。日常的にマスク着用が多いiPhoneユーザーには使いづらいデバイスだ。

ディスプレイの見やすさは必要十分

ディスプレイ表示イメージ。肉眼ではもう少し大きく、卓上に置いたiPad mini(画像では左)よりも少し大きいくらいに見える

 Even G2が搭載するディスプレイのスペックは、緑の単色・一階調で、解像度は640×350ピクセルの横長、視野角は27.5度となっている。表示領域の横幅のイメージとしては、筆者の場合ではあるが、右手をまっすぐ伸ばし、中指と親指を目一杯広げたくらいだ。大雑把に言えば、自然な距離で使っているスマホと同じくらいのサイズでもある。

 水平よりもやや上の位置に表示されるが、メガネが上にずれたり、視線を下に向けると、視認しにくくなる。個人差はあると思うが、瞳孔との位置関係はシビアなようだ。

 ディスプレイは左右両眼に搭載されていて、自然に見えるようになっている。視差も利用し、表示される距離を調整したり、ポップアップ表示を手前に見えるようにしたりと工夫している。ディスプレイを両眼に搭載するスマートグラスは実は珍しい(そもそもディスプレイのないスマートグラスが多い)。

日本語も十分判読可能。肉眼だともっとシャープに見える(カメラでフォーカスや露出を合わせるのが難しい!)
同じ環境で表示を消した状態。どこにディスプレイがあるか、着用者にはわからないくらいの透過性

 ディスプレイの解像度は低いが、それでも日本語の漢字を含めて無理なく判読できる。単色・一階調なので、写真や映像にはほぼ使えず、基本的にはテキストを表示するためのディスプレイだと割り切られている。その代わり輝度は高く、晴天の屋外でもある程度の視認性がある。一方で非表示時にはどこにディスプレイがあるか視認できないほどの透過性もある。

晴天下で光に照らされている緑が背景だと視認性が極端に落ちる
前の写真と同じ晴天の屋外でも、暗めの背景ならしっかり見える

 日本語にはほぼ完全に対応しているが、使われているフォントは一部がいわゆる中華フォントっぽいものとなっている。個人的にこの点は非常に残念なので改善を期待したい。視覚による文字情報をメインとするデバイスで、日本語として正しくない文字を見せられ続けるのは、あまりよろしくない。

 歩きながらだと表示が大きく揺れるので、文字を読むのは難しい。しかし、そもそも表示に集中すると周囲への注意が散漫になるので、歩きながらの使用は控えるべきだろう。自宅内でも足の小指をタンスの角にぶつけてしまう。

ダッシュボードには「自動画面オフ」と後述の「頭上げ表示」の設定がある

 表示を自動消灯しない設定も可能だ。というか、アプリ起動中は、そのアプリに自動消灯機能がない限り、自動消灯しない。ホーム画面・待受画面に相当するアプリの「ダッシュボード」は、自動消灯のオンオフや消灯時間を設定できる。

通知はこんな感じで表示される

 消灯状態からは、ダブルタップで点灯する。あるいは通知を受信したときも点灯・表示される。あとは設定しておくと、消灯状態で一定角度以上に頭を上げたときにダッシュボードが自動表示される。ただし、例えば残り少なくなったコップから飲み物を飲もうするときなどに誤反応が避けられないので、ダッシュボードの自動消灯を設定しておかないとけっこう邪魔だ。逆に言うと点灯しているとすぐ気がつくので、消灯忘れでバッテリを余分に消耗することはない。

 バッテリーのもちは良い。例えば半日着用し、後述の会話サポート機能を1時間以上使いつつ、ときどきディスプレイを点灯させるくらいだと、バッテリの半分くらいしか消費しない。ただ、使いすぎてバッテリが切れると、充電時には専用ケースに入れる必要がある=メガネとして使えなくなるので、視力矯正を必要とする人は使いすぎに注意が必要だ。

タッチの操作感は良くないけど、それは問題じゃない

 各種操作は、メガネの左右ツルの後端にあるタッチセンサーを使う。前後スワイプとタップしかないので、操作性はあまりよくない。キャンセル(ダブルタップ)のつもりが決定(シングルタップ)になることも多々ある。指を耳の後ろに持っていくのも若干面倒だ。髪型によっては反応も悪い。

オプションのEven R1。ドットがある部分にタッチセンサがあり、タップやスワイプ操作ができる。

 オプションのスマートリング「Even R1」を接続すると、前後スワイプとタップの操作を親指だけでできるようになるが、こちらも同様に操作性はあまりよくない。といっても、実のところ感覚的にも9割くらいはまともに動く。しかし無意識に、常時操作したくなるデバイスなので、1割の操作ミスも気になってしまうのだ。贅沢な話である。

Even R1の内側はバイタルセンサーがぎっしり。ヘルストラック機能なしで安価・軽量なモデルがあっても良い気はする

 Even R1は約4万円とそこそこの価格だが、他のデバイスには対応できないようなシチュエーションでも使えるようになるので、できれば合わせて使いたいアイテムではある。筆者は先日、整形外科で謎の首伸ばしマシンの施術を受けながらニュースチェックができた。冬季はポケットから手を出さずに操作できるのも便利だ(ただし手袋との相性は最悪)。ちなみに歩数や血中酸素濃度などを計測するトラッカーとしての機能もある。

 一方、Even G2自体が内蔵するマイクで音声認識操作ができるので、タッチの操作性の悪さはほぼ補えてしまう。声を出せる環境に限定されるが、ウェイクワードによりハンズフリーでも起動できるので、タッチ操作とは比べ物にならないくらい簡単だ。

標準アプリは多くないし機能も少ないけど唯一無二の使い心地

 Even G2の主な標準アプリは以下の7つだ。

ダッシュボードの画面。リリース当初は日本語ニュースに対応していなかったが、現在は見ての通りしっかり対応している

 まず「ダッシュボード」。ホーム画面・待受画面のような役割となっている。ダッシュボードは左右に分かれていて、左側には時刻や天気などが、右側にはニュースや株価などの任意のウィジェットが表示できる。簡易的な情報だけだが、顔を上げるだけで確認できるのはなかなかに便利だ。

「原稿提示」はいわゆるテレプロンプターだ。スマホアプリでアップロードしたPDF/DOCX/TXTの原稿を表示できる。カンペとしては最強のデバイスになりそうだが、筆者はプレゼンする機会があまりないので、まだ活用したことはない。

ライブ翻訳はEven G2上でリアルタイムにも見られるが、アプリ上であとで確認することもできる

「ライブ翻訳」は文字通り、翻訳機能だ。Even G2のマイクが聞き取り、ディスプレイに訳文が(タップすると原文も)表示される。シンプルな機能だが、人によってはこの機能のためだけにEven G2を購入する価値があるかもしれない。筆者はYouTubeの海外動画の翻訳に使っているが、YouTubeの自動翻訳機能よりも高精度だ。

「ナビゲート」は徒歩移動時に地図や曲がる方向を表示してくれる機能だ。しかし徒歩のみ対応なので、正直、使う機会はあまりない。電車の発車カウントダウンとかカーナビの方向指示とかしてくれたら便利そうなのだが。

「会話サポート」は、生成AIを使って会話や会議をサポートする機能だ。Even G2のマイクで会話・会議の内容を聞き取り、キーワードになりそうな単語を生成AIで調べて注釈したり、テキスト起こしとともにリアルタイムに表示したりしてくれる。メモとして精度も使い勝手も良く、筆者も多用している機能だ。詳しくは後述する。

基本的にどのアプリもEven G2単独では動作せず、スマホアプリとのペアリングが必要

「クイックリスト」は、いわゆるリマインダ・ToDoリストだ。ダッシュボードのウィジェットにも表示される。正直、あまり使っていない。

「Even AI」は、生成AIに質問する機能だ。調べ物だけでなく、ほかのアプリを起動したりクイックリストに項目を追加するといった操作もできる。この機能も有用度が高いので詳細は後述する。

 これらに加え、ペアリングしているスマホが受信した通知を表示する機能もある。通知を受信すると、ポップアップ表示され、「通知」アプリで再確認・既読処理できる。

 ただしこのEven G2、セキュリティはガバガバで、ロックをかけられない。置き忘れや盗難に気をつけるだけでなく、通知については人に見られても困らないものだけを表示するように設定しておこう。とくに二要素認証に使われるメッセージやメールの本文表示は絶対に避けるべきだ。

「会話サポート」は仕事でもプライベートでも役に立つ

 筆者は「会話サポート」をよく使っている。仕事の打ち合わせや取材でも使っているが、プライベートの打ち合わせなどでも便利だ。一人での作業中のメモ代わりにも使ったりする。

 同じような機能を得られるスマホアプリやAIデバイスもあるが、「テキスト起こしとキーワード注釈をリアルタイムで見られる」「なんらかのデバイスを手に持つ必要がない」という2つは、Even G2ならではのポイントとなっている。

会話サポートによる要約。音声は残らないが、何を話し合ったかを確認する用途ならば要約だけで十分だし、むしろ実用的

 この会話サポート機能では、録音データは残らないので、相手が何を話したか、正確に記録したい用途には向いていない。しかし人間の記憶をサポートする用途では十分だし、要約されるので、記憶をサポートするメモの用途ではボイスレコーダーより使いやすい。要約とテキスト起こしはスマホアプリに記録され、要約に関してはPDF化してメール添付やAirDropなどで転送もできる。

Even G2にはマイクもしくはスピーカーのための穴が左右3箇所ずつ合計6個開いている

 聞き取りの精度も高い。マイクは何個か搭載されているようで、着用者の耳で聞き取れる会話は、ほぼ無差別に聞き取ってくれる。宿命として、一般的ではない単語には弱いが、「この専門用語/固有名詞はこう誤認識する」と覚えれば問題ない。

 会話中に登場したキーワードを生成AIで自動注釈する機能は、面白いが、「これは便利だった」というシーンには出会っていない。自分の専門外のYouTube動画を見る時とかにちょっと面白かったりするが、実用性は不確かだ。

Even AIも重要機能

Even AIとの応答はスマホアプリでも確認できる。基本的に返答はEven G2のディスプレイで3画面分くらいの短さにまとめられている

 音声アシスタント機能のEven AIは、「ヘイイーブン」というウェイクワードでいつでも起動できるので、かなり気軽に使える。調べ物にも使えるし、Even G2のほかの機能を起動したりするのにも使える。タッチ操作が若干、使いづらいので、とっさにアプリを起動するのにもウェイクワードが便利だ。

 ウェイクワードは、スマホの「オーケー、グーグル」や「ヘイ、シリ」と同様のもので、「ヘイイーブン、会話サポートを起動」とコマンドまで繋げて言えば聞き取ってくれる。

Even AIの設定画面。筆者はもともとPerplexity派なのでそちらを使っている

 調べ物には、Even自身が提供する生成AI以外にも、Perplexityも使える。ハンズフリーで起動でき、大雑把な質問文でも認識し、答えのテキストを自分にだけ見えるように表示してくれるというのは、ほかのデバイスにはないちょっと面白い体験だ。

 スマートフォンの「オーケー、グーグル」や「ヘイ、シリ」も、ウェイクワードによりハンズフリーで起動して生成AIに質問できるが、スマホを取り出さない限り回答は音声で読み上げされるだけだ。たとえば回答に数字や固有名詞が複数含まれていたとき、ぱっと音声を聞いて記憶するとなると、けっこう集中している必要がある。

 Even AIは回答をテキストで表示するので、数字や固有名詞が含まれていても確認しやすい。視覚で情報が入ってくるので、ほかの人との会話中でも利用しやすい。

 といっても、実のところディスプレイが自動消灯するまでの時間がやや短いので、しっかり調べ物をしたいなら、やはりスマホを使うべきところだ。また、そもそもだが、長文で回答しないようになっているので、しっかりとした回答を得たいならスマホやパソコンを使うべきだろう。

 しかしそれでも、ハンズフリーでいつでもPerplexityにアクセスできるのは、けっこう便利だ。天気予報などにも答えられるし、知っている情報もそこそこ新しい。ただし、本来のPerplexityに比べると、モデルは選択できないし、有料プランにも対応せず、そもそもアカウント設定がないのでユーザー個人に最適化もできない。あくまで簡単な調べ物用途に限定されている。

サードパーティアプリも導入可能。今後の発展は期待できそう

 以上がEven G2の標準機能だが、これらは頻繁なアップデートで急速に進化を続けている。月に1回以上はファームウェアアップデートがあり、機能追加もされている。この進化スピードはなかなかのものだ。直近の大きな進化としては、アプリストアの「Even Hub」の追加があった。サードパーティがアプリを開発し、追加できるようになっている。

Even Hub。アプリのダウンロードから設定などはスマホ側で行なう

 Even Hubではそこそこの数のアプリが公開されている。日本語対応アプリだけでなく、そもそも日本製・日本向けのアプリもある。例えば東京圏の鉄道運行情報などを表示するアプリや青空文庫リーダーアプリがある。生成AI関連では OpenClaw連携アプリなんかもある。

ニュースなどを表示する「Live News」。日本語対応、というか日本製の日本的なアプリだ

 標準アプリはスマホ側のアプリがバックグラウンド状態でも動作するが、Even Hubで公開されているサードパーティアプリには、スマホ側のアプリが起動していないと機能が制限される、あるいは機能しないアプリもある。

 例えば青空文庫アプリは、アプリ側で書籍データを検索・選択しないと使えない。ただし一旦、書籍を指定すると、そのあとはスマホをロックしたり別のアプリを使っていても、続きを読むことが可能だ。

 Even Hubが公開されてからまだ1か月ほどしか経っていないが、マイナーデバイスのアプリストアの立ち上げ直後にしては、アプリも開発者もそこそこ揃っていて盛り上がっている印象だ。まだまだ開発者も手探り状態だと思うが、今後の拡大発展が楽しみである。

「カメラ非搭載」は現時点での最適解かも

このくらい近づくと、表示の一部が光って見えるが、そうでなければディスプレイ搭載とはわからない、ホントに自然に着用できるスマートグラスである

 現状、スマートグラスには「こうあるべき」という定番のデバイス構成がない。カメラが搭載されていたり、ディスプレイがなかったり、オーディオだけだったりとさまざまな製品がある。Even G2の「ディスプレイだけ」という構成は、ある意味で割り切ったデバイス構成だが、使ってみると「現時点ではアリかも」と感じる。

 将来的には、スマートグラスのカメラを使ったキラーコンテンツとなる機能が提供される、と筆者も予想している。ユーザーの視界を常時AIが解析してライフログ化し、ユーザーをサポートするような機能だ。しかしそうした機能には課題も多く、現状のスマートグラス製品では実現していない。

 現状のスマートグラスが搭載するカメラやオーディオが提供する機能の多くは、スマホやBluetoothイヤホンなどでも代用でき、「Gemini Liveをハンズフリーで使える」「イヤホンが不要になる」くらいの意味しかない。それはそれで便利だが、コストと着用の負担(メガネの重量増)に見合うほどかと言うと、やや微妙な面もある。

 それに対してEven G2の「常に視界に入るディスプレイ」は、ほかのデバイスでは代用できない機能だ。ほかのデバイスで代用できないディスプレイに機能を絞り、常時着用しやすい重量・デザインを実現しているEven G2は、現時点でのスマートグラスの最適解の1つと言えるだろう。