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パナソニックHDら、両手で作業するロボット操作AI「T-Rex」を開発

VLAモデルに指先の触覚情報を統合

 パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)とパナソニックR&Dカンパニーオブアメリカ(以下、PRDCA)は、カリフォルニア大学バークレー校、NVIDIA、スタンフォード大学、ローマ・ラ・サピエンツァ大学、ItalAIの研究者らと共同で、指先の触覚に即応しながら器用な両手作業を行なうロボット操作AI「Tactile-Reactive Dexterous Manipulation(T-Rex)」を開発した。

 T-Rexは、視覚と言語の情報からロボットの動作を生成するVLA(Vision-Language-Action:視覚言語行動)モデルに指先の触覚情報を統合したもので、接触状態の変化に応じて動作をリアルタイムに補正する。実環境で繊細な力の制御と柔らかい物体を扱う12種類の作業で評価した結果、平均成功率65%を達成し、既存手法を30ポイント上回り世界最高性能を達成した。同研究の成果は、11月9日から12日までアメリカ・オースティンで開催されるロボット学習分野の国際会議「Conference on Robot Learning(CoRL)」で発表する。

T-Rexの特徴

 T-Rexは、低頻度で行なう「視覚・言語に基づく動作生成」と、指先から得られる触覚に応じた「高速な動作修正」を一つのモデルに統合している。視覚と言語を処理する動作生成モジュールが約5Hzで動作の大枠を生成する一方、触覚を処理する動作修正モジュールが約20Hzでリアルタイムに接触状態を捉え、動作を細かく補正する。

 学習データとして、同研究チームは200種類を超える日用品と22種類の基本動作を組み合わせ、7,700件超、計100時間におよぶ両手ロボット操作データを収集した。各データには、頭部・手首カメラの映像、ロボットの状態と動作、10本の指先の触覚センサを通じて得られる力・変形情報、自然言語の指示が同期して記録されている。

T-Rexのモデルアーキテクチャ。視覚・言語に基づく低頻度の動作生成を、指先の触覚情報に基づく高頻度の動作修正で補完する(図中の「エキスパート」は役割別の処理モジュールを指す)

 今後は同技術を活用し、製造現場での部品の挿入・取り外し・ねじ締めや、物流現場での柔軟物・壊れやすい物品の取り扱いなど、細かな力加減や接触状態に応じた調整が必要な作業をロボットがサポートすることで、現場作業者の負担軽減と労働力不足の緩和に貢献することを目指すという。