DGX Sparkでゼロから始めるAIワークステーション
難しそうで難しくないDGX Spark、箱を開けたら30分でゴリゴリAIが使えてる!
2026年7月1日 07:00
月額課金や従量課金で費用がかさみ、ビジネス用途ではセキュリティにも課題があるクラウド型AI。それらの解決につなげられるローカルAI、ローカルLLMが大きな話題になっています。
ローカルAIを仕事などで実用するにはできるだけ高性能なマシンが必要です。特に重要とされているのがメモリ(VRAM)の容量で、そうした点で注目を集めているのがNVIDIAの小型AIワークステーション「DGX Spark」です。
DGX Sparkは、128GBもの大容量メモリをはじめ、AI処理に特化したハードウェアとソフトウェアを搭載しているのが特徴。どんな使い方ができて、仕事や日常のタスクにどう役立たせることができるのか、気になるところです。
そこでこの連載では、AIワークステーションに興味はあるものの技術には明るくない人、もしくは会社で導入したいけれど本当に活用できるのか不安な方に向けて、DGX Sparkの実機に触れながら、活用方法についてじっくり紹介していきます。
セットアップはわずか数ステップで完了
DGX Sparkは、今やAI業界の中心的存在であるNVIDIAが手がけるAIワークステーションです。128GBという大容量メモリに加え、NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchipと呼ばれるGPUと、20コアのCPUを搭載し、巨大なAIモデルを用いた高度なAI処理を行なえるとしています。
ただ、本体の標準価格は90万円超と、個人ではなかなか手が届きにくいハードウェアではあります。AIワークステーションの難しそうなイメージとも相まって、導入ハードルは高く感じられるかもしれません。OSもLinux系OSのUbuntuをベースにした「NVIDIA DGX OS」というもので、Windowsとは使い勝手が大きく異なります。
ですので、誰もがとっつきやすい製品とは言えません。それでも実際のところ最初の設定は「身構えるほど難しい」というほどではなさそうです。さっそく箱から取り出して外観をチェックしつつ、使い始める準備をしていくことにします。
筐体は、おそらく想像よりも2回りは小型です。片手でつかめる程度で、イメージとしては国語辞典くらい。昨今、弁当箱大の「ミニPC」の人気が高まっていますが、それと同じかむしろ小さいほどです。デスク上にあっても邪魔にならないサイズ感でしょう。
インターフェイス類はすべて背面に集約され、4つのUSBポート、HDMIポート、LANポート(10Gbps)があり、Wi-Fi 7にも対応しています。このなかではUSBポートがすべてType-CなのがPCとしては珍しい点です。
Type-Cポートのうち1つは付属ACアダプタからの給電用を兼ねるので、実質3ポートが使用可能。有線のキーボードやマウスを使う際はたいていType-A接続になるので、USBハブを別途用意しておくと安心です。ちなみに右端に見えるのは最大200GbpsのQSFPポートで、2台目のDGX Sparkを接続して性能を「拡張」するのに使います。
背面の左端にある小さな突起は電源ボタンです。これを押さなくても、ACアダプタを接続して通電するとすぐに起動するようです。モニターや周辺機器をつないでから、最後にACアダプタを差し込むと良いでしょう。
電源が入ると画面にNVIDIAロゴが現れ、少し待つとキーボード・マウスの接続確認画面が表示されます。何かキーを押し、マウスを動かせば認識され、次の設定画面に進めるようになります。
言語とタイムゾーンの設定では、いったん英語にしておきます。日本語にするとユーザーフォルダ類が日本語で作成されてしまうため、ファイル管理上不都合が生じやすいためです。初期設定完了後に言語設定を日本語にすると良いでしょう。タイムゾーンは日本でOKです。
最後にキーボードの設定を使用している製品に合わせて選び、ログインするためのユーザーアカウント名とパスワードを設定すれば完了です。電源を入れてからここまで、全部合わせても数ステップといったところ。
その後はログイン画面に遷移するので、たった今設定したアカウント名を選択しパスワードを入力すれば、いよいよ使用開始となります。ひとまず1番初めにやっておきたいことは、日本語を入力できるようにすること。キーボード設定で「Japanese (Mozc)」を追加します。
AIツールを簡単に導入できる「プレイブック」
開封から設置と配線、初期設定と進めてきて、まだおそらく10分程度しかたっていません。迷うところはほとんどありませんでした。しかしせっかくのAIワークステーションなので、引き続きローカルAIが使えるところまでセットアップしてみることにします。
とはいうものの、こういった慣れていないOSはもちろん、WindowsやmacOSのようななじみのあるOSでも、いきなり「ローカルでAIチャットする」ための環境を整えるのは容易ではありません。サーチエンジンで手順を調べるか、今だとそれこそChatGPTなどのAIに頼りたくなります。
ところが、DGX Sparkでは検索して調べるような必要はありません。なぜなら、さきほどデスクトップにログインした後、WebブラウザでDGX Spark向けのポータルサイトが開かれ、そこで各種AIツールのセットアップ手順が詳しく紹介されているからです。
このポータルのメインコンテンツは、DGX Sparkで使えるツール1つ1つのインストール手順を解説する「プレイブック」です。「AI初心者」のDGX Spark活用を後押ししてくれるもので、ユーザー側で必要な知識はターミナルの基本的な操作方法だけ。
ということで、今回はAIチャットが可能なツールとして「Open WebUI with Ollama」を試してみることにします。デスクトップ左下隅にある「Show Apps」ボタン(ランチャー)から「Terminal」を起動して、「Set Up Manually」タブにある手順に沿ってコマンドをコピー&ペーストしていきましょう。
手順通り操作していき、最後はWebブラウザ(Firefox)で「http://localhost:8080」にアクセスします。画面の指示に従ってOpen WebUIの簡単な初期設定を行なうと、さっそくチャット画面が表示されました。
最初はAIモデルがインストールされていないので、プレイブックの手順通りに画面左上の「Select a model」から「gpt-oss:20b」で検索し、そこに現れる「Pull "gpt-oss:20b" from Ollama.com」をクリックしてダウンロードします。
これで準備は完了です。聞きたいことを入力して送信すれば、AIが返答してくれます。DGX Sparkのデスクトップが表示されてからチャットできるまで15分もかからないくらいでしょうか。開封からのトータルでも30分に満たない時間で、ちゃんとDGX SparkをAIワークステーションとして使うところまでたどり着けました。
画像生成にチャレンジ、疑問もローカルAIで解消できる
もう1つおまけで、DGX Sparkの大容量メモリを活かせる画像生成も試してみたいと思います。同じくプレイブックにある「FLUX.1 Dreambooth LoRA Fine-tuning」を選び、説明通りの手順を踏むことで、画像生成用のツールとしてよく知られる「ComfyUI」が使えるようになります。
導入にかかる目安は1時間となっていますが、これは数十GBあるAIモデルのダウンロードにかかる時間も含まれるためで、インターネット回線の速度によって変化します。時間に余裕があるときに取り組むと良さそうです。
ところで、プレイブックの手順通りに操作しているつもりでも、見落としによる失敗はつきものです。セットアップが終わってさっそく画像生成しようとしたところで予期せぬエラーが発生して立ち往生してしまう、なんてこともあるでしょう。
しかしそこはAIワークステーション。遭遇したトラブルの内容やエラー表示をさきほどのAIチャットに貼り付けて解決方法を教えてもらう、という手段が使えます。
実際、筆者もこの画像生成ツールの導入手順のなかで「Webにアクセスして利用規約に同意する」という操作をうっかり見落としていたために、必要なモデルデータがダウンロードされず、エラーで画像生成されませんでした。
すかさずAIチャットにエラーを貼り付け、原因らしき箇所を探って対処したことで無事、画像生成に成功しました。ということで、DGX SparkのAIワークステーションとしての「機動力の高さ」をさっそく実感した次第です。
手間をかけずに準備が完了、誰でもすぐにローカルAIを始められる
DGX Sparkの初期設定に関しては、せいぜい5、6ステップしかなく、拍子抜けするほどあっさり終えて使い始めることができました。昨今のWindowsよりよほど手間が少ないのでは、と思うくらいです。
AIツールを導入するところも、プレイブックの説明に従って正しく操作していけば苦労はしません。もしうまく動かなかったとしても、その症状をAIチャットで気軽に尋ねて解決していける、というのはDGX Sparkならではと言えるでしょう。
とはいっても、必要十分な機能しかもたないLinux系OSですので、素のままだと使い勝手の面では優れているとは言えず、ユーザー側で改善していける余地がたくさんあります。次回以降はそうした利便性向上に向けた設定の方法なども見ていきたいと思います。














































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