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NVIDIA「GTC Taipei」、フアンCEOが語る“40年ぶりのPCの再発明”

「NVIDIA RTX Spark」を披露するジェンスン・フアン氏

 6月2日~5日にかけて台湾で開催される「COMPUTEX TAIPEI 2026」にあわせ、NVIDIAが「GTC Taipei」を開催している。1日にはCEOのジェンスン・フアン氏による基調講演が行なわれた。本稿ではその模様をお伝えする。

「Vera Rubin」によって実現するAIファクトリー

Vera Rubin

 エージェンティックAIの複雑な処理をデータセンター規模で支えるため、同社が次世代システム「Vera Rubin」がフル生産体制に入ったことを明らかにしたファン氏は、ステージ上で巨大なラックを指し示しながら、「Vera Rubinは1つのチップではない。端から端までVera Rubinだ」と紹介。構築されたサプライチェーンの規模はGrace Blackwellの2倍に達しており、デジタルツインのシミュレーション活用により、「以前は2時間かかっていたラックの組み立てが、今は5分で済むようになった」とアピール。ボトルネックとなっていた大量のケーブルやファンを排除して中央の基板で両側面を接続するミッドプレーン設計を導入したことで、システムの信頼性とレジリエンスは桁外れに高まっているとする。

 さらに、顧客が求める「AIファクトリー」の効率的な運用に向け、インフラフレームワーク「NVIDIA DSX」を提示。DSX MaxLPSの導入により過剰な電力供給を解消し、同一の電力予算内でより多くのGPUを展開させることが可能となった。ファン氏は、コストだけを重視する傾向に対して「間違ったアーキテクチャを選ぶと、チップが安いというだけで、実現しないし、理にかなっていない。ワットあたりの性能があなたの売上になる。買えば買うほど、より多く生み出す」とユーモアを交えて訴えた。

エージェンティックAIのために設計された「NVIDIA Vera」

NVIDIA Vera

 ハードウェア面における目玉の1つとしては、エージェンティックAIのために設計された新型CPU「NVIDIA Vera」が発表された。ファン氏は「これまでのCPUはすべて、人間向けに作られていた」と振り返り、その上で「エージェントは焦る。彼らは秒単位の世界ではなく、ナノ秒の世界に生きている」と指摘。エージェントがツールやデータベースにアクセスする際、1クロックあたり10個の指示を取得・デコード・実行する世界最高のシングルスレッド性能が求められるため、こうした要求に対応できるようにVeraが設計されている。同氏によれば、SQLの処理性能は3倍に高速化され、リアルタイムストリーム処理においては6倍ものパフォーマンス向上が可能になったという。

 すでにコーディング(プログラミング)の世界ではエージェンティックAIが実戦投入され、欠かせない存在になっているが、同社のAIモデルの最新版となる「Nemotron 3 Ultra」も発表された。フアン氏によれば、他のオープンモデルと比較して5倍の高速化と30%のコスト削減を実現。すでにNemotron 4の開発も進めているとのことだ。

Nemotron 3 Ultra

「NVIDIA RTX Spark」で実現する40年ぶりのPCの再発明

PCの40年を振り返るフアン氏

 フアン氏は、パーソナルコンピューティングの歴史も、エージェントAIの登場によって劇的な進化を迎えると指摘する。従来のPCは人間が直接使うことを前提に、マウスのクリックやキーボード入力といった操作で逐一コントロールしていたが、同氏が「40年ぶりの再発明」とする世界観では、エージェントに指示を出すだけになる。

 ユーザーを理解し、自律的に稼働するパーソナルなエージェントマシンへと進化したWindows PCの中核を担うのが、1ペタフロップスのAI性能をもたらすチップ「NVIDIA RTX Spark」となる。ファン氏はこの新たなチップを掲げ、「これは作るのに33年かかるはずのとても美しいチップだ」と、これまでの自社の歩みを誇らしげに語った。

NVIDIA RTX Spark

 RTX Sparkの登場はアプリケーションにも変化をもたらす。同氏はその一例として、AdobeのPhotoshopやPremiereがこのアーキテクチャーにあわせて再設計され、AI性能が2倍に向上するとともにエージェントフレンドリーなインターフェイスに進化することを紹介した。

 ファン氏は「あなたにとって(スター・ウォーズに登場する)R2-D2やC3POのような存在になる」と表現。コンピューターが機械から相棒へと進化する未来像を描いた。

本格的に動き出すフィジカルAI

 基調講演の終盤では、ファン氏はAIがデジタル空間の枠を超え、現実世界を直接認識し駆動する「フィジカルAI」の最前線を紹介した。

 ロボティクスにおける最大の課題は、大半のビデオが第三人称視点であり、ロボット自身の認識(第一人称視点)に基づくデータが不足している点にあるとする同氏は、この課題を突破するため、物理的AIのためのワールド基盤モデル「Cosmos 3」を発表した。

Cosmos 3

 自動車分野では、世界初の推論型自動運転車向けオープンモデル「Alpamayo 2 Super」が発表された。

Alpamayo 2 Super

 さらに、同社ではロボティクス研究の基準となる開発プラットフォームとして「NVIDIA Isaac GROOT」を公開しているが、そのリファレンスヒューマノイドも発表された。

「NVIDIA Isaac GROOT」のリファレンスヒューマノイド

 フアン氏が今回のステージで強調したのは、NVIDIAが単なるGPUやシステムのメーカーにとどまらず、世界最大のAIインフラ企業へと進化したということ。同氏は、それを支える台湾のエコシステムへ深い謝意を述べ、基調講演を締めくくった。