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NVIDIAフアンCEO、「メカトロニクスや製造業とAIの融合が日本復活の鍵」
2026年7月16日 23:58
NVIDIAは7月16日、各界のリーダーを集めた「NVIDIA Japan AI Ecosystem Reception」を開催し、ジェンスン・フアンCEOが来場者に向けてスピーチを行なった。
冒頭、日本のものづくりの哲学へのリスペクトに加え、ゲームやロボットアニメといった想像力で世界を驚かせてきた歴史をNVIDIAの視点から紹介するビデオが流れた後、フアン氏がステージ上に登場。
同氏は、創業当時に取り組んでいた3Dグラフィックスのアルゴリズム開発の失敗による窮地をセガに救われた過去を振り返り、日本のビジネス文化にある友情や互いに支え合うパートナーシップの深さに惚れ込んだと語る。
NVIDIAの並列計算プラットフォームとなる「CUDA」は、発表当時、見向きもされなかったが、そのポテンシャルを見抜いたのも日本だったという。日本の量子物理学者がゲーム用としか認識されていなかったGeForceシリーズに目をつけ、世界初のGPUスーパーコンピューター「TSUBAME」が誕生。それが今日のAI技術の発展にもつながっている。
フアン氏は、「このことに気づいている人はほとんどいないが、日本は半導体産業の基盤を支えている。誰もが台湾の話をするが、日本がなければ、材料はどこから来るのか? 化学薬品はどこから来るのか? 高度なパッケージング技術はどこから来るのか? シリコンウェーハはどこから来るのか? 半導体製造の初期段階における根本的な物理技術は、今もここ日本にある」と述べた後、「奇妙なことに、それがソフトウェアとなると……」とユーモアを交えて日本の課題を指摘し、会場の笑いを誘った。
そして、「AIはソフトウェアのことなど気にしない。AIが最初に覚えることは、ソフトウェアを書くこと。私たちがそれを書く必要はもうない」として、日本が持つ世界トップクラスのメカトロニクスや品質、ものづくりへのこだわりとAIを融合させることこそが大きなビジネスチャンスになると来場者にエールを送った。
壇上には文部科学省の松本洋平副大臣が招かれ、国家戦略としてAI人材の育成や次世代に向けたインフラ整備を進めており、日米戦略的パートナーシップの下で日米で連携を図りながらAI関連の取り組みを強化していることを説明。この分野でのNVIDIAの貢献に感謝しつつ、さらなる連携への期待感を表明し、フアン氏や来場者と一緒に乾杯した。
その後、フアン氏は別室での囲み取材に応じたが、本稿ではAI関連の発言をピックアップしてお届けする。
日本のAIインフラ投資について
――AIを稼働・創出するために、どのようなインフラが必要か?
AIには、新しいアルゴリズムやソフトウェアだけでなく、新しいタイプのコンピューター、そしてインテリジェンス(知性)を継続的に生み出す「AIファクトリー」が必要だ。
――日本政府(経産省など)のAIインフラ投資をどう評価しているのか?
日本が自国のためのAIインフラ構築を決定したことは、日本経済にとって非常に素晴らしい決断だ。数十億ドル規模のこの国家インフラ投資により、次の産業革命を日本が率いるための強固な基盤が整う。
フィジカルAIについて
――なぜフィジカルAIにおいて日本が有利なのか。
日本はメカトロニクスや製造業、ロボティクスにおいて世界最高峰の技術を持っている。このフィジカルでの卓越性とAIの知能を融合させることで、これまでにない革新的な未来を創造できる。
――フィジカルAIの導入によって、日本のものづくりや中小企業はどう変わるのか。
従来の産業用ロボットは事前の複雑なプログラミングが必要で、多品種少量を扱う中小企業には導入が困難だった。しかし、自分で学習し環境に適応するフィジカルAIが実用化されれば、お手本を見せるだけで動作するようになる。労働人口が減少する日本において、イマジネーションだけが唯一の制限になる。
――そもそも、AIが進化する中でヒューマノイド(人型ロボット)は本当に必要なのか。
すべての用途に必要というわけではないが、人間のために作られた環境(街や家など)を移動するロボットとしては完璧な形状だ。かつて日本は実用性の低さから人型ロボットへの関心を失っていたが、AI技術が整った今、再び実用的な技術として復権している。
推論(リーズニング)と自動運転
――なぜ自動運転の実用化には時間がかかるのか。人間との違いは何か。
従来の自動運転システムは、学習したデータがない想定外の状況に対応できず、何億マイルもの膨大な走行データを必要とする。一方、人間はわずか数百マイルの経験で運転をマスターできる。この差は、人間に備わっている推論能力にある。見たことのない状況でも、過去の経験から推論してどうすべきかを自分で考えられる。
――NVIDIAが開発した自動運転AIの何が革新的なのか。
私たちがオープンソース化したAlpamayoは、ただ障害物を認識するだけでなく、常に自分で考え、推論しながら走るAIだ。この推論システムこそが近年のAIにおける最大のブレイクスルーであり、これによって考えるクルマや推論するロボットが実現する。
AIの投資サイクルと半導体産業の展望
――現在、私たちはAIの投資サイクルのどの位置にいるのか?
私たちはまだサイクルの極めて初期、始まってわずか6か月目にいる。一般的なテクノロジーサイクルは10〜15年続くが、私たちはその入り口に立ったばかりだ。
――将来、AIによるコンピューター需要はどう変化していくのか。
これまでは10億人の人間がコンピューターを使っていましたが、将来的には数兆のAIエージェント(ロボット、自動運転車、社内システムなど)がコンピューターを使うようになる。需要が人口の数に制限されなくなるため、半導体は社会を動かすインフラそのものとなり、世界最大の産業へと進化していく。
なお、囲み取材の終了後、退室しようとしたフアン氏だったが、PC Watchのスタッフが持参した私物のビデオカードに対面。NVIDIA初のビデオチップ「NV1」を搭載した今となっては貴重なもので、大喜びした同氏はそのビデオカードに自らのサインを入れ、満面の笑顔で記念撮影に応じていた。









































