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日本独自のフィジカルAIを作り、AIロボットの社会実装を進める

高市早苗総理「安心安全な信頼できる国産の基盤となるAIを開発し、世界に打って出る」

 経済産業省は、日本における今後のAI戦略についての発表会「我が国のフィジカルAI政策に関する対外発信イベント」を開催した。イベントには赤澤亮正経済産業大臣をはじめ、NVIDIA創業者でありCEOを務めるジェンスン・フアン氏もゲストとして登壇し、今後のフィジカルAIの発展についのて必然性を説くとともに、日本の得意分野として期待を寄せた。

 今回発表されたのは、マルチモーダル基盤モデルの開発をメインとしたプロジェクト「FRONTia」。これまで各現場におけるデータ収集やモデル開発、多様な現場で活用できるロボット基盤モデルの開発が行なわれてきたが、これらのデータを各モデルの開発で循環させることで、今回のマルチモーダル基盤モデルの開発を大きく進めていく。

「FRONTia」は“実世界を自然と理解する、信頼性の高いAI基盤”の英文の頭文字をとったもの。経済産業省とNEDOの元、Noetraが様々な分野のフィジカルAIの開発のもとになるような日本独自のAI基盤モデルの開発を行ない、産業技術総合研究所がAI基盤モデルに必要となる最先端技術の研究を行なう。また、開発だけでなく、AIロボットの量産体制や導入支援も含め、産業的に循環させ、AIロボットの社会実装に向け弾みをつけたい意向だ。

 Noetraが開発を行なうAI基盤モデルの学習データについては日立、HONDA、理化学研究所など国内の大手企業が名を連ねる。産業技術総合研究所の研究には国内だけでなく、カナダ、フランス、ドイツ、英国、米国など海外と連携して進めていく。もちろんNoetraと産業技術総合研究所は連携して開発を進めていく。ちなみに開発には国内最大規模のNVIDIA Rubin GPU(約27,500基)を使って行なわれる。

 イベント冒頭には高市早苗総理大臣のコメントが流された。高市氏は、日本の高品質なものづくりを支える製造業について触れ、「現場で日々蓄積されているデータが重要であり、フィジカルAIに活かすことで、安心安全な信頼できる国産の基盤となるAIを開発し、世界に打って出る」と力強く語った。高市総理は「2040年までに80兆円の投資を行なう」と語り、重要な政策として位置づけているとした。

高市早苗総理大臣

 続いて登壇した赤澤大臣も「カギは現場データ」と言い切った。日本が高齢化・災害大国であることを挙げ「日本には、非常に厳しい環境の東日本大震災時の廃炉がある。こういった場でどうやって作業を行なうのかといったデータがある」と語り、積み上げられた現場での活動データを生かすことで、フィジカルAIの開発の強みとなる見解を示した。「これまで技術で勝って、ビジネスで負けるといわれてきたが、今回は技術で勝ってビジネスでも勝ち切る」と語り締めくくった。

赤澤亮正経済産業大臣。ジェンスン・フアン氏がゲストということもあり、革ジャンで登場。大きな拍手を受けていた

 イベントに登壇したジェンスン・フアン氏は「日本は、日本のAIを構築しなければなりません。日本の産業の専門知識はまさに国家的知性です。『メイド・イン・ジャパン』とは、最高の品質、最高の精度、匠、カイゼン、カンバン、ゲンバ。それらを運用している人々は、その知識を失ってはいけません」と語り、「15年の研究を経て、フィジカルAIはここにあります。次の産業革命の基盤です。そしてこれは日本で作られるべきです」と続けエールを送った。

ジェンスン・フアン氏

 東京大学の松尾豊教授も「基盤モデルの開発は負けられない戦い」とし、データ、アプリ、ハードが連携して開発を進めるべきだが、「厳しい戦いになる」と話しながらも「フィジカルAIは、LLMのように今すぐ使えるものではない。だから今、国家レベルでやる意味がある」とし、このプロジェクトを立ち上げ、より多くの企業や人に参画してほしいとあいさつした。

東京大学の松尾豊教授