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「KDDI SUMMIT 2026」基調講演、AI活用の新ソリューション発表

レコード会社との才能発掘プロジェクトも

KDDI 代表取締役社長 CEOの松田浩路氏

 KDDIが主催するビジネスイベント「KDDI SUMMIT 2026」が10月27日~28日の2日間の日程で開催されている。AIを主題に据えた同イベント初日の基調講演では、同社代表取締役社長 CEOの松田浩路氏が登壇し、AIアバター、フィジカルAI、ドローン配送、AIデータセンターなどAIに関連する最新の取り組みを紹介した。

 また、レコード会社ユニバーサル ミュージックなどと共同で、YouTubeを舞台にした新人アーティストのオーディションプロジェクト「SCAN」を開始することも明らかにした。

法人向けAIアバターソリューションが提供へ

 松田氏が最初に発表したのは、“AIロープレ”が可能な「KDDI Avatar Canvas」の11月2日からの提供について。画面内のAIアバターとリアルに対話する仕組みで、サービス業の応対スキルを磨く教育用途や実際の接客に利用できるものだ。

KDDI Avatar Canvas

 同社ではすでに7月から全国のauショップでAIアバターによる自社システム「AIセールスサポート」を導入しており、店舗スタッフの顧客対応に必要な情報への到達時間を8〜9割削減した。同時に、その対応のなかでスタッフが本部に対して問い合わせする回数が半減する効果も得られているという。

 こうしたAIアバターの実地での効果をもとに、AIアバターと対話しながらリアルなトレーニングなどができるAIロープレとして法人向けに提供する。企業や自治体においては従業員・職員への教育支援、顧客へのサポート力向上が期待できる。

全国のauショップで「AIセールスサポート」が導入され、大きな効果を上げている

 また、同社の事業へのAI活用が進んでいることを受け、独自のAIデータセンターの稼働も本格化する。

 KDDIは大阪府・堺市にあるシャープの液晶工場跡地にAIデータセンターを設置し、1月に稼働を開始している。2027年度にはNVIDIAの最新世代GPUである「Rubin」も導入し、「AIの計算基盤を作り、社会実装していくフェーズに入る」とした。

大阪府・堺市のAIデータセンター

 松田氏によると、この計算基盤を用いて実現することの1つが自動運転だ。大阪を中心に約1700台のタクシーを運行するnewmoと共同で、自動運転タクシーに向けた取り組みを進める。

 2027年度から実際に走行しているタクシー車両によるデータ収集を開始し、そのデータのAI学習を堺のデータセンターで行なう。2028年度にはレベル4の自動運転タクシーの商用運行を始める計画だ。

newmoとの自動運転タクシーに向けた取り組み

 2つ目は、ロボティクス分野におけるデータセンター活用。KDDIは新会社としてELYZA Roboticsを10月1日に立ち上げており、2030年度までに「300億円の研究開発費、300人の専門家集団、1000台以上のロボットを製造の現場にお届けしていく」と宣言した。

「産業を模擬した実証フィールドを構築し、実践的なデータを収集」して堺データセンターで学習することで、「実用に耐えうるロボットへと進化」させていくという。

ELYZA Roboticsには、2030年度までに300億円の研究開発費などを投資していく

 3つ目はドローン。松田氏は「家の庭先まで荷物を届けるドローン配送」を目指すとし、自動ドローン配送サービスを手がける米アルファベット傘下Wingと戦略的パートナーシップを10月27日に締結したことを報告した。

 同氏は、高齢化やドライバー不足といった社会情勢を背景に、今後「ドローン配送が非常に重要」になると指摘。2027年中に「一部エリアでローソンの商品をはじめ、食料品や日用品の配送を始めたい」としており、「欲しいものが空から届くような、そういう社会を作っていきたい」と語った。

2027年中にドローン配送サービスの実現を目指す

 一方で、通信会社として通信品質の向上にAIが貢献し始めていることにも触れた。

 モバイル通信の「つながりやすさ」を改善するためには主に3つの最適化が必要としており、1つ目は基地局の設置場所、2つ目は場所ごとの混雑度合いに応じた通信容量の最適化、3つ目は各種パラメーターの最適化、となっている。

 とくに3つ目のパラメーターにおいては、「干渉波」の影響を小さくすることが重要とのこと。これには「お客さまにとって必要な電波を最大化するとともに、必要のない電波を最小化する、その2つの組み合わせ」を考える必要があり、膨大な組み合わせパターンになるため人力での作業には時間がかかっていた。

通信品質の向上にAIが用いられている

 同社では、その最適解を導き出すのにAIモデル、および量子アニーリング技術を活用することによって「通常2年かかる(最適化の)作業がわずか1か月弱で」完了したという。

新たなオーディションプロジェクト「SCAN」がスタート

 基調講演では音楽レーベルのユニバーサル ミュージックジャパン CEOの藤倉尚氏も登壇し、AIをはじめとするテクノロジーの進化とともに歩んできた同社の変化について振り返った。

ユニバーサル ミュージック合同会社 社長兼最高経営責任者(CEO) 藤倉尚氏

 130年前の蓄音機からテープやレコード、CDなどのディスク媒体、そしてストリーミング配信へと移りゆくなかで「音楽や映像、才能の“届け方”は常に変わってきた」という同氏。しかしそれでも、「新しい才能を探して、その才能を育てて多くの感動を届けること」という同社の役割は130年間全く変わらなかった、とした。

テクノロジーの進化とともに音楽や才能の「届け方」は変わってきた

 そして、基調講演の最後に行なわれた松田氏とのトークセッションでは、そうした「才能を育てて届けること」を目指す新たな取り組みとして、KDDIおよびTBSと共同で「SCAN」を立ち上げることを発表した。

松田氏と藤倉氏のトークセッション

 SCANは「YouTubeを活用した新人アーティストのオーディション、プラットフォーム」で、「継続的に新しい才能を発掘して世の中に届ける」ことを目的としている。そこにKDDIがどう関わるのか、AIを活用することになるのか、といった詳しい内容は11月上旬に発表されるようだ。

オーディションプロジェクト「SCAN」が開始へ。詳細はまだ謎に包まれている