ニュース
スマートグラス「Even G2」のAI機能が大幅強化。会話を聞いて表示される「ヒント」がより高精度に
2026年10月26日 23:00
Even Realitiesのスマートグラス、「Even G2」のファームウェアに大型アップデートが入り、AI関連機能が大幅強化される。
そもそもEven G2は普段からアップデートペースが速く、発売からの10か月ほどでショートカットジェスチャーなど多くの機能の追加・強化がなされてきたが、今回はAI関連に集中して大きな機能強化が施される。
今回はなかなか大きなアップデートであり、Even G2購入を悩んでいる人には判断材料になりそうな機能強化だ。また、AIをウェアラブルデバイスと融合させたユニークな機能でもあるので、購入意向がない人でも、AIトレンドの一環としてチェックするべき機能でもある。
今回は事前にβ版を使う機会をご提供いただいたので、そのβ版をベースにどんな機能強化となっているかをレポートしたい。
会話サポートの賢さがエグい
Evenの特徴的な機能として「会話サポート」という機能がある。Even G2に搭載されているマイクを使って周囲の会話音声を取得し、生成AIによって文字起こし・要約作成などをしつつ、会話中に現われたキーワードのヒントをリアルタイムで表示してくれたりする機能だ。ちなみに録音データは残らない。
もともと便利な機能だったが、これに「Pro」モードがβ版として加わった。これがなかなかに賢くなったのだ。
例えばこのスクリーンショットは、筆者の短い独り言中に表示されたAIからの補足だ。スマホアプリの画面だが、会話中はEven G2にヒントと文字起こしが表示される。
筆者はいま個人的な趣味として、生成AIの助けを借りつつ片手用キーボードの設計をしている。この独り言は、その手順を考えているときのものだ。
ErgogenやKiCadは、自作キーボード界のデファクトなものの、ややマイナーなツールなので、知っている人は少ないのではないだろうか。その使い分け方法について、Even G2がリアルタイムでアドバイスを表示してくれている。文字起こしでは「エルゴジェン」や「キーキャド」だが、AIのヒントはそれがなにかをしっかり認識し、それらの役目を前後の文脈も見ながら解説してくれた。
以前の会話サポートのAIヒントは、キーワードを拾って軽く解説するだけだったが、Proモードでは明らかに中身が濃くなっている。
これが何を意味しているか。
おそらく読者の大半は自作キーボードの世界には詳しくないだろう。筆者が「自分が熱中していることを饒舌にまくしたてる」というオタク特有のムーブをカマしても、普通は「はぁ? なにこいつ?」となるところだが、Even G2を着用していれば、あなたは完全ではないにしろ理解のためのヒントを視界の隅に見られるのである。もう意味不明なまま相槌を打つ必要はない。
業務で必要になりそうな専門的知識をどこまで補完できるかわからないし、正確性が必要な業務では使わない・鵜呑みにしないことも必要かもしれないが、しかしいろいろな場面で人間の知性を拡張してくれる大きな機能である。
実のところ、この会話サポート機能のヒント表示は、もとから搭載されていた機能ではあるが、AIの強化によって精度が画期的なレベルで向上し、あきらかに実用性が高まった。
ヒントの表示レスポンスとしては、キーワードが会話に出てきた瞬間に表示されるというレベルではないが、相手に質問するよりは早い、というレベルのわずかな遅れで表示される。ただ、読んでいると次の話題を聞き逃してしまいそうになるので、会話中に読むのには慣れが必要だ。
ヒントが表示される時間はあまり長くなく、手動設定でも最大10秒で、読んで理解する前に次のヒントが表示されることも多い。しかしタップ・スワイプ操作で過去のヒントも表示できる。Even G2のツル(着用者の耳の後ろあたり)をいちいち触るのは面倒だし会話中は不自然すぎるが、指輪型コントローラの「Even R1」を併用していると、自然に前のヒントを表示できる。会話サポートを使いこなすならばEven R1は必須かも知れない。
純正のEven searchも賢く・最新情報にも詳しく
Even G2には「ヘイ、イーブン」で呼びかけて起動するアシスタントAI機能がある。こちら、各機能を起動したり、リマインダを登録したり、輝度などの操作もできるが、調べ物に使える。
調べ物に使う検索エンジンは、「Even search」か「Perplexity」から選ぶことができる。初期バージョンのEven searchはおせじにも賢いとは言えず、最新情報にも弱かったので、筆者はPerplexityを使っていた。しかし現在のEven searchはかなり改善しており、最新の情報ややや専門的な情報も答えられるようになっている。
例えば初期のEven searchではNintendo Switch 2について質問しても、まだ本体が発売していないかのような受け答えをすることがあったが(Switch 2の方がEven G2より半年くらい先に発売されている)、いまは今後発売予定のSwitch 2ゲームタイトルについても答えられるようになっている。
Even G2が発売された今年の頭から比べると、生成AI分野ではフロンティアモデルも廉価モデルもオープンモデルも驚くほどに進化していて、ちょっと前のフロンティアモデル並の性能を安価かつ低遅延に、自前サーバーで運用することすら可能になっている。賢くなって当然だが、ちゃんと賢くなっているのは本当にありがたい。
コンテクストをより理解し、独自コンテクストの追加も可能
会話サポートには「準備メモ」というテキストを事前に入力し、コンテクストとして追加することもできる。生成AIが知らないような情報を準備メモとして入力しておけば、その情報も活用してヒントなどを表示するようになると思われる。
が、このコンテクストがどこまで使われているのかは、試した限りでは確認できなかった。例えば先の日本シリーズ中継について、両チームのスタメンの漢字とひらがなを書いた準備メモを読み込ませてみたが、ベイスターズの蝦名(えびな)選手についてはひらがなで「えびな」のままだし、ソフトバンクの正木(まさき)選手については「真崎」と誤表記を続けていた。
ヒントには反映されるのだと思うが、素の生成AIとしての知識がかなり専門的かつ最新情報もフォローできるようになっているので、コンテクストに入れておくべき情報はかなり少ないと言える。入れるとしても社内や個人の情報になりそうだが、それはそれで準備メモに入れてAIに読ませるのは、社内情報や個人情報の保護の上で問題となる可能性もある。
ただ、公開したい情報なら使っても問題ないだろう。例えば自社の商品・サービスに関する情報とか利用規約や、そういったものを準備メモに入れておけば、ユーザーサポートや営業といった業務では役に立つ可能性が高い。ただ、顧客の前で顧客の発言もAIに解析させる会話サポートを使ってよいかどうかは、また別の問題になる。
用意したコンテクストではなく、会話のコンテクストも拾ってくれる。野球ファンにしかわかりにくい例で恐縮だが、ラジオで日本シリーズの横浜DeNAベイスターズ対福岡ソフトバンクホークス戦を聞いているときに会話サポートを試してみたところ、面白いヒントが表示された。イニング間にアナウンサーがそのイニングの先頭でホークス先頭打者がホームランを打ったことを振り返ったとき、ほんの数分前に起きたこのホームランについてヒントを表示したのである。
ホームランが打たれたときにも会話サポートが起動していたので、そこで「日本シリーズ第2戦」と言っていたこともちゃんと記憶していたようだ。
また、ベイスターズ先発の尾形投手が交代するタイミングで、尾形投手をソフトバンク側の中継ぎ投手として誤認したヒントが表示された。尾形投手はもともとソフトバンクの投手だが、今年(2026年)の5月にソフトバンクからベイスターズへトレード移籍しており、その日はベイスターズの投手として登板している。
実はこの原稿を某大手最新生成AIに誤字添削させたときも、そのAIは尾形投手をソフトバンクの中継ぎだと誤認し、「これはハルシネーションでなく著者の誤解」と指摘してきた。この誤認(ハルシネーション)は、生成AIの「あるある」だ。尾形投手は2024年の日本シリーズではソフトバンク側の中継ぎとして登板しているので、「日本シリーズで尾形投手が登板」は、とくにハルシネーションを起こしやすい題材でもある。
しかし、そのまましばらく経ったあとにラジオ中継で再び尾形投手の話題が出たとき、Even G2の会話サポート機能は、先ほどのヒントが間違いであったと訂正した。先ほど、表示したヒントを覚えていて、それが間違っていたと訂正しているのも、コンテクストをちゃんと使えているということだ。しかも自分で能動的に訂正と指摘できる。なかなかに頼もしい賢さだ。
便利で高機能なだけに懸念点もアリ
大きなAI機能強化で、非常に魅力的なものになったと思うが、問題もいくつかあると感じられた。
まず大幅に強化された会話サポートのProモード、こちらは現段階ではβ版であり、今後どういった形で正式提供となるかアナウンスされていない。
レスポンスの速さから、計算量の少ない低コストな生成AIモデルが使われていると推測されるが(詳細な仕様は非公開)、会話のすべてをAIに解析させるとなると、それなりの計算力となるはずだ。いろいろな場面で使いたくなる面白い機能なので、無料で提供し続けると乱用するユーザーが増え、サーバー代で破綻するのではないだろうか。
筆者個人の予想としては、いずれは有料になるか使用量上限が設定されると思う。課金するに値するような機能とも思うが、課金するべきAIサービスが増えまくっている昨今、Evenにも課金するかどうかは、極めて悩ましい判断になりそうだ。
実用性が高まって使うシーンが増えると、プライバシーの問題も出てくる。Even G2の音声認識・記録機能は、周囲に起動中であることを知らせるインジケーターランプが存在しない。会話を録音していることは、着用者が伝えないと、周囲の人が知ることは困難だ。しかもこの機能、けっこう感度が良く、ちょっと離れた場所の会話も記録してしまう。
こうした「いつでもどこでも、知らないあいだにAIが記録する」という機能、アンビエントAIなどいろいろな呼ばれ方をしているが、登場したてでもあり、どこからどこまでがアウトか、まだ議論が進んでおらずハッキリしない点も多い。
このEven G2の会話サポートは、音声自体を記録せず、文字起こしと要約だけが記録される。しかしそれでも、例えばアメリカの一部州では発言者全員の同意がないとアウトだったり、欧州ではGDPR違反でアウトとなる可能性もある。議論が進んでいないからまずアウトにしていく、という姿勢の国や地域もある状況だ。
また、AIで処理すること自体がセキュリティの問題となる可能性がある。例えば許可されていない生成AIの使用を禁止している会社だと、社内で使うことはできない。多くの機密情報を扱う大手企業や官公庁で使ってしまうと、新聞に載るレベルの不祥事となる可能性もある。
使用禁止と言われてしまうと、スマートグラスは困ったことになりうる特殊な事情もある。録音禁止の場面では、「記録しているかどうか見た目でわからないから外せ」ということになるが、視力の悪い人間にとって、家の外でメガネを外すと作業や仕事に支障をきたすし、けっこうキケンだ。普通の予備メガネを持ち歩く必要があるかも知れない。
アンビエントAI機能を実装している製品はまだ少ないので、どこまで許容されるかの議論はこれから、という段階でもある。しかし大手では最新のApple Watchが「Siri Recap」などのアンビエントAI機能を実装してくるので、待ったなしで議論が必要な段階となりそうだ。個人的には利便性とプライバシーのバランスの取れた結論になって欲しいと願うところである。















![[みのるん式]ビジネスパーソンのためのClaude Code仕事術 製品画像:5位](https://m.media-amazon.com/images/I/51clwCUvB0L._SL160_.jpg)



![ディープラーニングG検定(ジェネラリスト)最強の合格テキスト[第3版] [徹底解説+良質問題+模試(PDF)] (まっすぐ合格シリーズ) 製品画像:9位](https://m.media-amazon.com/images/I/41-ShVuwo4L._SL160_.jpg)

![Claude Code実践入門 [生成AI深掘りガイド] 製品画像:4位](https://m.media-amazon.com/images/I/41onRRY91KL._SL160_.jpg)

























