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日本オラクル、AI時代のデータ基盤戦略に関する「Oracle AI Forum」を開催

AI活用のための“AIが使える”データ整備の重要性

 日本オラクルは、企業が抱える実際の課題解決とビジネス価値の創出につなげるため、最新のAIテクノロジーを取り上げるイベント「Oracle AI Forum」を開催した。本稿では、基調講演の内容を取り上げる。

 日本オラクルの取締役執行役を務める三澤智光社長は冒頭、新たに導入される「Oracle Fusion Claw」を紹介。Oracle Fusion Clawについては、デスクトップ作業などを便利にこなすOpenClawを引き合いに出し、これをエンタープライズに持ち込んだようなものと説明。複雑かつ付加価値の高い業務をコスト効率よく自律的に完遂する。OpenClawはアクセスコントロールが難しいが、これはSaaSの進化により対応。企業利用に求められるガバナンスやセキュリティを実現する。また、Oracle Fusion Clawを搭載した、新たな25のFusion Agentic Applicationsをリリースする。

 AIの導入を行なっても、効果を出すのに時間がかかったり、リアルデータを活かせないといった導入後の悩みもよく聞かれるが、オラクルとしては、いきなりすべてをやるのではなく、スモールスタートで対応し、データを活かしながら進めていく方法を提案。そしてオラクルのAIデータプラットフォームをマルチクラウドで提供していくという。

 顧客のソブリンAIへの興味と期待が高まっている点については、ソブリンAIに不可欠な要素をOracle Alloy上で提供。Oracle Alloyを導入するだけで終わらず、Japan Operation Center(JOC)の伴走で責任をもって進めていくことの魅力をアピールした。

 この基調講演では矢崎総業、楽天グループ、ソフトバンクの3社による、AIを実証・検証の段階にとどめず、実際の業務成果へつなげるために、どのように基盤づくりに取り組んでいるのかについての紹介も行なわれた。

AI活用のための“AIが使える”データ整備の重要性-矢崎総業

 矢崎総業は、製造業として世界各国に展開しているが、AI-Readyのデータ設計を行なってきていないことから、苦労が絶えないという。では何も行なっていないのかといえばそうではない。実は1万7千人の従業員中1万6千人が生成AIを使用して仕事を行ない、AIに関する教育も十分行なっているという。しかしここまでやっていても、AIを使用してエンタープライズで財務的効果が出たと言い辛く、具体的な数値や効果に落とし込めないという。

矢崎総業のAI化は進んでいる

 そんな中で重要な要素の1つが、前述のAI-Readyのデータ整備だという。これまで各国の事業所などで全く違った様式でデータの蓄積が行なわれており、例えば2,423件の過去のトラブル帳票を使用してAIで作業を行なったところ、活用できたのはわずか27件にとどまったという。その理由は、そもそもAIが読み取って理解してくれないのだという。これまでIT部門としてはマスター統合をいやというほどやってきたが、今回の問題では、そもそも元のデータのバラツキという問題であるため、これまでと同じデータ統合を行なっても意味がない。データの量の問題ではなく、質の問題となった。大規模言語モデル(LLM)が理解できなければデータとしての意味もなくなってしまう。

 この問題に対してオラクルとともに行なわれているのは、まさに前述のスモールスタートで、使いながら効果を確認しながら拡張していく方法論。いきなり巨大なデータレイクを作るのは、時間と金額の両面からコストがかかり現実的ではない。現在のデータを活かすという意味からも、スモールスタートに意味がある。

 一方で、AI導入において財務的なインパクトを出すためには社内の部門間にまたがり、進めていくことが重要で、そういった意味では、現在各社で行なわれているボトムアップでのAI導入ではなく、トップダウンでAIの導入やデータ整備を行なっていく必要があると説明した。

楽天グループの事例、「ECC AI Agent」の活用

 楽天グループでのAI導入については、消費者(店舗お客)、顧客(出店している店舗)、社内で少し意味合いが違っている。消費者向けにはAIエージェントなどが提供されており、対顧客には企業受けソリューションなどが用意されている。このほか、長期的な戦略から自社開発の大規模言語モデルの開発(Rakuten AI 3.0)、ディープランニング基盤なども行なわれている。

 こんな中、今回楽天グループとしての課題として挙がっていたのがEコマースにおけるAI推進で、さまざまな事例が進められている。AIを搭載した店舗運営システム(Rakuten AI for RMS)の提供、生成AI活用によるECコンサルタント業務の効率化などだ。

 そんな中で紹介されたのが、「ECC AI Agent」の活用だ。ECコンサルタントが店舗に向け次にとるべきアクションを提示し、提案準備が効率化されることで対話時間に割くことができる。さらに、店舗との対話をデータ化し、組織全体で再利用し効率を上げていくことができる。解決したい問題からデータと取り組んでいき拡げてやっていくことが重要なのだという。

 楽天グループとしては自社内に開発グループなども存在するが、手いっぱいで、今回はオラクルとの対話の中で開発を行なうスピード感から共同で行なうことを選択したのだという。

AIセキュリティへの関心の高まり

 ソフトバンクでは、AIセキュリティの現状などについて説明された。AI時代のセキュリティについては、AIからの攻撃はAIで防御するのが鉄則で、診断から始まり、既存システムの課題解消を行ない、標準基盤の構築・運営を開始、監視・自動化・改善を統合的に継続運用していく。オラクルとしてはこれに加える形で、フロンティアAI時代に求められるレジエンス向上を挙げ、最新のセキュリティパッチの適用やデータのバックアップとDR環境の整備などを支援していくとした。

 また、AI実装の壁として回答精度だけでなく、誰が、何を、なぜ行なったのか実行過程の把握が重要で監査部門への備えも必要となる。また、AIの行動をデータベースで統制し、構築・運用工数の約20~50%削減を行なうとした。そして、基幹業務のAI化にあわせ、企業主導プラットフォーム選定を行なうことが重要となる。