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楽天市場のAI-nazation、ユーザー体験向上と店舗支援の2軸でAI活用

楽天市場でのAI活用

 楽天グループは7月7日、楽天市場におけるAIの活用についての説明会を開催した。説明会では、執行役員 市場編成部 ジェネラルマネージャーの髙間真里氏がユーザー向けの機能について、コマース&マーケティングテクノロジー統括部 ジェネラルマネージャーの山川祐介氏が店舗向けの機能について、それぞれプレゼンテーションを行なった。

 髙間氏は、1億以上の会員数や4588万人の月間アクティブユーザー数、2つ以上のサービスを利用するクロスユース率が77.3%、累計で5兆を超えるポイント発行数といった楽天エコシステムの規模感を強調する。AIを活用することで、ユーザーのニーズを的確に把握し、さらなる買い物体験の向上を図っていくとする。

 同氏は、2025年12月から提供している「楽天市場 AIコンシェルジュ」、同年11月から提供している「ディスカバリーレコメンデーション」を例に挙げ、AIを活用した新たな買い物体験のスタイルを紹介。

執行役員 市場編成部 ジェネラルマネージャーの髙間真里氏

 AIコンシェルジュは、リアル店舗で定員と会話するような感覚で商品を探せる機能で、チャットインターフェイス上での対話を通じ、ユーザーの要望に細かく応じてくれる。デモンストレーションでは、「肌に優しい日焼け止めを新しく買いたい」とリクエストすると、それに沿った形で商品を提案してくれる様子が示された。

 直近では、最大4つまでの商品を比較検討できる「商品比較」や、レビューなども参照しつつ、商品の特徴やおすすめのポイントを教えてくれる「商品詳細」といった新機能も用意。同氏によれば、AIコンシェルジュの導入により、商品の検索から購入に至るまでの時間を約41%短縮できるようになっているという。

 今後も順次改良を重ねていく方針で、さらにユーザーの意図を正確に理解して回答できるように会話品質の改善を図っていくほか、店舗ならではの知見を反映した接客やパーソナライズといった観点で、リアル店舗さながらの買い物体験を実現していくとのことだ。

 また、デイスカバリーレコメンデーションは、InstagramのようなSNS的なインターフェイス上で新たな商品との出会いを演出しようという試みとなる。店舗の個性や商品の魅力が伝わるようなショート動画やオリジナルコンテンツを店舗側に用意してもらい、AIがユーザーの利用履歴にあわせて商品を提案する。

 今後はライブコマースなどにも挑戦しながら、エンタメ性を高め、ユーザーとの接触頻度を増やしていく。

楽天市場 AIコンシェルジュ
デイスカバリーレコメンデーション

 続いて登壇した山川氏は、店舗向けに提供しているAI機能を紹介。商品説明文の作成を支援したり、商品の写真の背景を加工したり、ユーザーからの問い合わせやレビューへの回答や返信を支援したりする機能が利用可能となっており、半数の店舗が何らかのAIが機能を活用するようになってきているという。

コマース&マーケティングテクノロジー統括部 ジェネラルマネージャーの山川祐介氏

 オンラインショップとしての体裁を整えるだけでなく、データ分析エージェントも提供されている。実際の販売データを確認し、自店舗の強みや課題を指摘し、どのように店舗を運営していくべきなのか、まるでコンサルタントに相談しているかのように利用でき、利用店舗の72.9%が深掘り分析に活用しているとのことだ。

 その後、山川氏が楽天市場に出店しているプチギフト momo-fuku(百福) 専務の木澤典子氏を壇上に招き入れ、実際のAI活用事例が紹介された。

プチギフト momo-fuku(百福) 専務の木澤典子氏

 木澤氏によれば、ギフトショップという性質上、地方ごとの“のし”の作法や配送の方法について細かく問い合わせが入るが、以前は1件あたり10分程度かけて対応していたという。AIを活用することで、これか1~3分に短縮され、月間では67時間から20時間と、大幅に効率化が実現できた。

 また、敬語やマナーに悩むスタッフも多かったが、AIによる支援のおかげでその心配がなくなり、スムーズに返信できるようになった。迅速なレスポンスは信頼にもつながり、それに応じて注文も増え、新規購入への好循環を体感できているという。

 背景画像の加工については、他のAIツールでは商品の色形まで映える形に変更されてしまい、商品を販売する上で問題となってしまうが、楽天の画像加工支援AIでは商品そのものに変更を加えず、背景だけを差し替えられるので、安心して利用できると語っていた。

 髙間氏によれば、まだまだGoogleなどの従来型の検索サイト経由でのアクセスが多い状況ではあるが、汎用AIをからの流入も日々増えてきており、現段階では明確な方針は定めていないが、「チャンスであり、入口として活用したい気持ちでいっぱい」とのこと。

 AIコンシェルジュについては、「まだアクセルを完全に踏んでいない。第1フェーズ」とした上で、回答の質や満足度を慎重に担保しながら、楽天内のあらゆるナビゲーションに浸透させていく方針だとしている。