AI用語の基礎知識

【第18回】「MCP」とは――AIと外部データをつなぐ“共通ルール”

AIと外部データの接続を共通化する仕組み「MCP」。(筆者がChatGPT Images 2.0で生成)

「AIに、自社のデータベースや手元のファイルを直接見ながら仕事をしてほしい」――AIを使っていると、そう思うことはありませんか?

 以前は、AIとデータベースや各種サービスをつなぐために、それぞれ専用の連携プログラムを作る必要がありました。そんなAIと外部データの接続を共通化しようという仕組みが、今回取り上げる「MCP」です。

MCPとは――AIと外部データをつなぐ共通規格

 MCPとは「Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル)」の略で、AIアプリと外部のデータやツールを接続するためのオープンな共通規格です。

 MCPでは、外部データや機能を提供する側を「MCPサーバー」、それを利用するAIアプリ側にある接続機能を「MCPクライアント」と呼びます。

 たとえば、ファイル、データベース、GitHub、カレンダーなどに対応したMCPサーバーがあれば、MCPに対応したAIアプリから共通の方法で情報を取得したり、用意された機能を呼び出したりできます。

 MCPはClaudeの開発元であるAnthropicが2024年11月に公開しました。その後急速に普及し、現在ではClaudeだけでなく、ChatGPTやGitHub Copilotなど、さまざまなAIサービスや開発ツールで利用できるようになっています。また、MCPはLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundation(AAIF)に寄贈され、特定企業だけの規格ではなく、オープンな形で開発が続けられています。

たとえるなら「AI版USB-C」

 AnthropicはMCPを説明する際、「AIアプリケーション向けのUSB-C」のようなもの、とたとえています。

 かつて、パソコンでは、プリンター、マウス、外付けドライブなどの外付け機器の接続方式は、同じパソコンにつなぐためでもそれぞれ異なる接続方法を使ってきました。それがUSBという共通インターフェイスの登場によって、同じルールでさまざまな機器を接続できるようになっていったのです。

 MCPも似ています。

 これまでは、「このAIからこのデータベースへ」、「別のAIからGitHubへ」というように、組み合わせごとに接続方法を作る必要がありました。

 MCPという共通ルールに対応すれば、外部サービス側は同じ仕組みを、複数のMCP対応AIから利用しやすくなります。MCPそのものがデータを持っているわけではなく、「AIと外部サービスがどう会話するか」を決める規格なのです。

AIエージェント時代に重要になるMCP

 そして、MCPが特に注目されている理由が、「【第1回】「AIエージェント」とは――自分で考えて動くAI」で解説した「AIエージェント」です。

 チャットで質問に答えるだけなら、AIはそれほど多くの外部機能を必要としません。しかし、「明日の予定を調べて」、「関係者にメールを送って」、「必要な資料を探してまとめて」と、AI自身に仕事を進めさせようとすると、カレンダー、メール、社内データ、Webサービスなどとの連携が必要になります。

 そこでMCPが「共通の接続口」として役に立つわけです。

 MCPサーバーは、AIに情報を渡す「Resources(リソース)」だけでなく、検索やファイル操作、API呼び出しなどを行なう「Tools(ツール)」も提供できます。AIが外部の情報を参照するだけでなく、実際の作業につながっていくところがポイントです。

MCPによって、カレンダー、メール、社内データ、Webサービスなどリソース、ツールをAIに共通の仕組みでつなぐことができる。(筆者がChatGPT Images 2.0で生成)

 ただし、AIがさまざまなツールを操作できるということは、それだけ権限管理も重要になります。メール送信やファイル変更など、何をAIに許可するのかは慎重に設定する必要があります。

 MCPは、AIそのものを賢くする技術ではありません。AIと、私たちが普段使っているデータや道具をつなぐための技術です。

 AIが「話す相手」から「実際に仕事をする相手」へ変わっていくなかで、その手足を外の世界につなぐ共通規格。それが、MCPなのです。