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判断だけができるAI「Jev」、使い方と使い道は? どれくらい高速で低コスト?

 今や当たり前の存在になってきたスマホやパソコンで使えるAIツール。まだ本格的に触れたことがない人でも、便利に使いこなすためのヒントをお届けします。

 複雑で高度なタスクをこなし、テキストや画像・映像を作り出す生成AIの競争が激しくなるなか、突如現われた「Jev」。生成することはできず、ただ「判断」できるのが特徴というこのAIモデルがどう使えるのか、チェックしてみましょう。

大量の事柄を高速に「3種類」で判断

 Jevは、OpenAIに所属していたメンバーらが創業したTypeSafe AIという米国企業の提供するAIモデルです。2026年10月時点ではAPI経由で、自作プログラムなどから呼び出して利用できます。

Jevの公式サイトログイン後のダッシュボード

 特徴は、物事の「判断」に特化していること。ある物事に対して「YesかNoか」のような判定を行なう能力に長けており、しかも高速に処理できます。代わりに、テキストや画像を生成する機能はありません。

 もう少し正確に言うと、Jevでできるのは「YesかNoか」「AかBか」のように対立する要素の判定(「Noul」と呼んでいます)だけではありません。それ以外にも数段階で評価する「Score」と、分類する「Choice」という計3種類の判断タイプがあります。

 従来のAIモデルでも同様の判断はもちろん可能ですが、処理には時間がかかります。1つ2つを判断するくらいなら気にならなくても、判断すべき事柄が大量になると時間・コストは膨大なものとなるでしょう。そうした場面でJevが役に立つ可能性があります。

APIを使用するにはあらかじめ決済手段を登録し、クレジット購入してAPIキーを発行しておく必要があります

「記事を今すぐ読むべきか」の判断速度を計測した結果

 とはいえ「AIと言えばチャットや画像生成」という感覚で使っている人も多いでしょうから、「判断だけできる」と言われてもピンとこないかもしれません。では、具体的にどんなことに使えるのでしょうか。本誌AI Watchの記事を例に考えてみます。

 トップページでは毎日多数の記事が配信されますが、全部隅から隅まで読むのは大変です。読者のみなさんは自身の興味関心や仕事・趣味との関連度合いなどから、記事タイトル(やサムネイル画像)を見て優先的に読むべき記事を選んでいるのではないでしょうか。

AI Watchの記事を「今すぐ読むべきか」などを判断するサンプルプログラムを作ってみる

 そうした判断をJevなら省力化できます。1つ1つの記事タイトルと公開日付から「今すぐ読むべきか(Noul)」「今日中に読む価値がどれくらいあるか(Score)」「記事ジャンルは何か(Choice)」を判断してもらう、といった使い方が考えられます。

Jevで記事タイトルから読むべきかどうかなど、3種類の判断を実行

 実際にJevのAPIを利用するサンプルプログラムを作成し、10月上旬の記事78本を対象に、日付とタイトルのみを判断基準にして3種類の判断をしてもらいました。あわせて、同様の処理をGPT-6 Luna(API呼び出し)でも実行して比較してみました。

JevはGPT-6 Lunaの10分の1程度の時間で処理している

 Jevでは各判断を100~500ミリ秒(APIの応答時間)で処理しているのに対し、GPT-6 Lunaは概ねその10倍以上の時間がかかっています。78件の合計処理時間はJevが40秒余り、GPT-6 Lunaは8分弱となりました。

 判断として「正しいかどうか」はユーザーの立場や考え方によりますが、一般的なAIモデルと同様に、Jevでも最初にプロンプト(パラメータ)で前提条件を設定できます。ユーザー自身が重視する事柄、興味のある分野をあらかじめ設定しておくことで、より精度の高い判断が可能になります。

工夫次第で従来のAIでも高速化はできる

 Jevの判断はたしかに高速です。サンプルプログラム1回の処理でかかった費用は0.01ドルにも満たないわずかなものでした。しかし、速度について言えば、一般のAIが必ずそれよりずっと遅いとは限らないことに注意が必要です。

 今回の例では、記事タイトル1つ1つに対して判断させる(都度プロンプトを投げる)処理にしていました。しかし、GPT-6 Lunaに対して78件の記事タイトルをまとめて投げて一括処理させたケースでは、トータルの時間が約45秒と、Jevと大差のない結果となりました。

 GPT-6 LunaのAPI使用コストも1回0.01ドル程度だったため、極端に高額というわけでもありません。このように使用するAIモデルや処理方法の工夫で、必ずしもJevが有利とも言えないので、適材適所で選ぶことが大切です。