ニュース

関西医科大学と日本IBM、「医療AI共通ICTプラットフォーム」を共同開発

 関西医科大学と日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、「医療AI共通ICTプラットフォーム」を共同で開発した。

 同プラットフォームは、最先端のAI活用シーンを広げる次世代の医療DX基盤となるもので、関西医科大学では、具体的な診療支援サービスの第1弾として、医師・看護師向けの「生成AIサマリー作成支援アプリケーション」を運用している。

 今後同プラットフォームが全国の病院に広がることで、各種ICTシステムをより効率的かつ経済的に導入可能となることが期待される。

「医療AI共通ICTプラットフォーム」の役割とメリット

 同プラットフォームは、関西医科大学附属病院、関西医科大学総合医療センター、関西医科大学香里病院の3病院で共通利用できる診療支援AIの基盤。各病院が個別にシステムを構築することなく、高度なAIアプリケーションを迅速に横展開できるようになるほか、3病院の優れた医療ナレッジを一元的に蓄積・反復利用し、将来的な医療データの高度化や、最先端の臨床研究を支える技術基盤を確立する。

生成AIによる「文書作成支援アプリケーション」の実運用

 スマート病院構想の具現化として実運用を開始した生成AIアプリケーションは、医師や看護師の深刻な業務負担となっている文書作成の効率化を目的としており、「看護サマリー」「退院サマリー」「外来サマリー」の作成を支援する。

 3病院で統合運用されている富士通製の電子カルテシステムと、クラウド上の同プラットフォームを連動。電子カルテ内の情報を生成AIが安全に取り込みサマリーを作成する。

 文書作成支援アプリケーションを活用することで、例えば看護サマリーでは従来30分程度時間を要したものが5分で完了するなど、マニュアル通りの事務作業を大幅に削減している。

 日本IBMでは、医療従事者がより患者中心の診療に注力できる環境を創出するとともに、働き方改革にも貢献するとしている。

今回の取り組みを支える3つの最先端技術プラットフォーム

  • 柔軟かつ安全なAI実行基盤(クラウド活用):大規模言語モデル(LLM)をはじめとする最先端のAIサービスを安全に利用できる環境をクラウド上に構築。今後の迅速な機能拡張にも柔軟に対応可能な構成となっている。
  • HL7/FHIR標準に対応した医療データ連携基盤:将来の医療連携を視野に入れ、国際標準規格「FHIR (Fast Healthcare Interoperability Resources)」に対応したサーバーを導入。異なる電子カルテシステムとの接続も可能で、附属病院でのデータ活用を推進し、地域医療連携や臨床研究への発展を支える。
  • ゼロトラストネットワークにおける堅牢なセキュリティシステム:強固な認証・認可基盤を構築。機微な医療データやAIアプリケーションを、場所を問わず安全に利用できる高度なサイバーセキュリティ環境を実現した。

 なおAIアプリケーションでは、日本IBMが提供する「病院業務支援AIソリューション」を活用している。

同取り組みの背景:関西医科大学が目指す「スマート病院構想」

 関西医科大学では、医療の質向上と医療従事者の働き方改革を両立させるため、デジタル技術を駆使した「スマート病院構想」を推進している。すでに、AI問診システム、生成AIを活用した患者対応システム、ICU(集中治療室)入室患者の退院判断支援システムなどを導入し、成果を上げてきた。

 今後はさらに、ゼロトラスト環境下で院外から安全に電子カルテにアクセスできる業務用スマートフォン(教職員向け)の配布や、動画を用いた手術の患者説明システムの導入も予定している。

 今回開発した「医療AI共通ICTプラットフォーム」は、次世代のスマート病院へと進化を遂げるための「AI・医療データ中核基盤」と位置づけている。