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2028年度には“意識しなくてもAI PCを買う時代”が到来?
NPU本格普及を前に、今はローカルAIで何ができるか、AMDがデモ
2026年6月17日 20:01
AMDは6月17日、AI PCに関する報道関係者向けラウンドテーブルを開催した。「Ryzen AI 400」シリーズをはじめ、AI処理に適したNPU(Neural Processing Unit)搭載型CPUを相次いでリリースしている同社だが、実際のところ、どんな姿勢でAIに取り組んでいるのか。日本AMDの関根正人氏(コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング担当 マネージャー )が、NPUを用いたローカルAIの動作デモを交え、解説した。
NPU搭載半導体の開発はもちろん、ソフトウェア面でもAIに注力するAMD
言うまでもなく、AIは企業、教育現場、ゲームなどさまざまな分野で活用が広がっている。改めて関根氏は「AMDが今一番力を入れているのがAI」と強調。クライアントPCからデータセンター向けまで、幅広くAI関連製品を展開していると説明した。
中でも、AMDを代表するAI製品としてクローズアップされたのが「Ryzen AI 400」シリーズだ。AI処理に適したNPUを内蔵するCPU製品の中でも最新鋭にあたり、マイクロソフトが提唱するAI対応PCの規格「Copilot+ PC」の実現に欠かせない製品である。今年1月のCESで発表され、搭載製品の出荷もすでに始まっている。
Ryzen AI 400シリーズの中でも最上位級のスペックにあたるRyzen AI 9 HX475/470では、 内蔵CPUコア(Zen 5コア)数が12と、サーバーグレードのCPU並みの性能を誇る。またAMDが「コンピュートユニット」と呼称するGPUコア(Radeon コア)についてはその数が16となっており、これは外付けGPUに匹敵する演算力という。AI処理能力を左右するNPUは、性能指標が下位製品が50TOPsであるのに対し、475は60TOPs、470は55TOPsと、より高められた。
AMDのAI対応は、半導体分野だけではなく、ソフトウェア面にも広がっている。代表格とも言えるのが「ROCm」だ。AMDのデータセンター向けGPU関連の開発に用いられるソフトウェアスタックだが、これをクライアントPCでも動作させることができる。
「データセンターのGPUで、AMDは今、非常に元気があります。(NVIDIAの)一強と思われるかもしれませんが、そこにAMDのInstinctが入り込んでいます。そのROCmをクライアントPCで使えるというのも、差別化の1つのポイントです」(関根氏)
2028年度には“意識しなくてもAI PCを買う”ように~富士通パーソナルズ・町田氏
Ryzen AI 400シリーズ搭載ノートPCを開発・販売する立場として、富士通パーソナルズの町田優祐氏(営業推進統括部)からもプレゼンが行なわれた。同社では、AMD以外の製品も含め、さまざまなAI PCを販売しているが、市場をどうみているのか。
調査会社のMM総研によれば、法人向けPCの年間出荷台数におけるAI PCの割合は、2028年度に65%を占めると推計されている。CPUは、非AI PC用の製品が徐々に低減していき、2027年度頃にはCopilot+ PC対応CPUが主流になる可能性があると町田氏は指摘。その上で「2028年頃には、お客様が特別な判断をしなくても、自然とCopilot+ PCを購入することになると予想されます」とした。
一方で、AI技術はますます進歩していくと考えられる。現状では、プロンプトに対してクラウド(サーバー)側で処理して結果を返すAIが主流だが、手元のPC上で処理が完結するローカルAIにもすでに注目が集まっている。ローカルAIの時代には、より高性能なPCが求められ、具体的にはNPUの有無や性能が、AIの利便性を左右していくことになる。
また町田氏は、そうしたAIを巡る環境変化に対応できるだけの人材育成も重要だと主張する。
「今の市場で考えると、AI PCの導入やAI人材育成は一歩先に進んでいるようにみえるかもしれません。しかし、どのAIを使うか、社としてAIにどう向き合うか事前に考えなければなりませんし、時間がかかる部分です。2028年にはAI PCを使う企業が半分以上になるでしょう。そこに向けての取り組みは、 今からはじめても遅くはない。そんな状況です」(町田氏)
富士通の法人向けPCラインナップのうち、LIFEBOOK U5615A/AおよびU5415A/Aでは、Ryzen AI 400シリーズのCPUであるRyzen AI 7 445もしくは Ryzen AI 5 430を選択できる。町田氏が特にオススメとアピールしたのが14.0型ディスプレイ内蔵のU5415A/Aだ。Wi-Fi 7に対応し、オンライン会議を快適にするAIサポート機能を搭載。そしてバッテリーをユーザー自身で交換できる仕様とした。
NPUがあればローカルAIでここまでできる
ラウンドテーブル後半では関根氏が再び登壇し、おもにオープンソースのアプリを用いて、ローカルAIを動作させるデモンストレーションを行なった。「Copilot+ PCでは(NPUを内蔵しているので)リコールやライブキャプションといった機能が利用できますが、それだけではなく、日常のワークロードの中でNPUをもっと使えないかと、よく質問されます。これまでだとLLMで単にチャットするくらいしかユースケースがありませんでしたが、ここ数か月でかなり変わってきた印象です」(町田氏)
ローカルでLLMを動作させるソフトウェアとしては「LM Studio」などが著名だが、AMD製NPUのXDNAアーキテクチャー上で動作するLLMへの対応度の面では「Lemonade」がより充実しているという。オープンソースで開発されており、入手は容易だ。
Lemonadeのインターフェイス上からは、利用するAIモデルを選択でき、たとえばGoogleのGemmaなどが一覧に並んでいる。この選択次第で、GPUではなく、NPUでAIを簡単に実行させられる。実際、Windowsのタスクマネージャーをチェックすると、GPUの負荷が増えないまま、NPUの利用率だけが上昇していた。
「たとえば英語サイトを読むのが面倒だったら、(その全文をコピー&ペーストでLemonadeのインターフェイスから入力すれば)ちゃんと訳してくれる。高いトークン料を払わなくていいし、GPUを使わないでもいい。横で通常通り、作業を続けられる訳です」(関根氏)
そしてもう1つ、大きく取り上げられたのが「AnythingLLM」である。こちらもオープンソースで開発されているAIアプリとなっており、Lemonadeとも連携しやすい。デモではGemma 3を用い、URLでサイトを指定してスクレイピングし、要約せよとのプロンプトを入力。すると、時間は多少かかるものの問題なく作業が完了。NPUだけで実行していることもわかった。
同様に、英語のPDFをAnythingLLMに読ませて、日本語で要約することもできた。クラウドではなく、端末内で処理されるため、たとえば社外に公開したくない資料でも比較的扱いやすいというのがローカルAIのメリット。読み込ませた資料に対するQ&AもNPUだけで実現しており、実用性が高いのではないかと関根氏は話す。また会議音声の文字起こしも英語ではすでに実現しているという。
NPU搭載PCの市場シェアは、非AI PCと比べてまだまだ相対的に低い。しかし、現にリリースされているNPU搭載PCを使えば、クラウドAIでトークンを消費しなくても、かなりのことができる。そしてAIの進化はまだ止まりそうにない。関根氏は、業務効率の向上につながるであろうAIトピックについては、AMDとしても積極的に発信していきたいという。


























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