ニュース

LINEヤフー、AIエージェントの新ブランド「Agent i」

(左から)上級執行役員 コーポレートビジネスドメイン CPOの二木祥平氏、CPO(Chief Product Officer)の慎ジュンホ氏、上級執行役員 AI Agent統括SBUリードの葭沢光伸氏

 LINEヤフーは4月20日、AIエージェントの新ブランド「Agent i」の提供を開始した。

 同社では、Yahoo! JAPAN側で「AIアシスタント」、LINE側で「LINE AI」と別々のサービスを提供してきたが、Agent iはそれらを統合したAIエージェントサービスとなる。

 ユーザーはLINEアプリやWebブラウザー上からAgent iとの対話を通じてさまざまなサービスを利用できる。当初は「新しい家電がほしい」「京都の観光モデルコースを作って」といった情報の整理といった内容となるが、順次複雑なリクエストにも対応していく。

 20日に開催された発表会では、CPO(Chief Product Officer)の慎ジュンホ氏が登壇し、新ブランドにかける思いなどを語った。

 同氏は、数年前に対話型で質問に答える形だった生成AIが、人間の作業を支援する伴走型に進化し、その後、ユーザーの行動そのものを代行するエージェント型へと進化しており、同社の中でもコーディング(プログラミング)エージェントが生産性を高めていると説明。

 一方、日常の生活においては1~2割しか生成AIが活用されておらず、エージェントレベルとなると、さらに利用率が低下すると指摘。同社として「なぜこんな優れた結果を出している生成AIが、実際に多くのユーザーの日常生活に寄り添っていないのか」という課題意識を持ち、誰でも使えるAIエージェントを作ることが使命だと考えるようになったという。

 Agent iの「i」には、information、intelligence、insight、innovationの頭文字に加え、「私を誰よりも理解してくれているもう1人の私(I)」という意味が込められている。

Agent iの「i」の意味

 同社はYahoo!ブランドとLINEブランドの下に1億人超のユーザーを抱え、生活に密着した100以上のサービスを提供。さらに企業向けのLINEビジネスアカウントも100万件以上で、こうした網羅性が大きな強みとなっている。

 続いて登壇した上級執行役員 AI Agent統括SBUリードの葭沢光伸氏は、Agent iで表現するユーザー体験について説明した。

 葭沢氏によれば、Agent iのコンセプトは「毎日のそばに、だれでも使えるAIを。」となっており、「使いやすさ」「正確な情報、最適な提案」「実行力」の3つの特徴があるという。

 使いやすさについては「複雑なプロンプトは不要で、直感的に操作できる」、正確性については「100を超えるサービス、100万を超える企業や店舗のアカウントと連携し、より正確な情報で最適な提案を行なう」とする。

 実行力については「複数の複雑なタスクを管理し、ユーザーの代わりに代行していく。予約や購入をサポートしていくだけでなく、購入した後のアフターフォローまで、ユーザーに寄り添いながら実行していく」と説明する。

 同氏は、Yahoo!のトップページやLINEアプリからAgent iを呼び出して利用する方法を紹介。ファイナンス情報を扱うエージェントを立ち上げ、株価の動きの背景にある社会の動きや個別の銘柄に与える影響などをAIが解説してくれたり、気になる企業の動きを通知してくれたりする機能を披露した。

 冷蔵庫を開いてスマートフォンのカメラで撮影し、確認できた材料を元に献立を考えてくれるレシピエージェントでは、最初に提示されたレシピに対して「少しピリ辛に仕上げたい」とリクエストすると、瞬時にアレンジレシピを提示。外食の際に撮影した料理の写真を元にレシピを提案することも可能だが、さすがに味まで再現できるわけではないとのことだ。

 LINEアプリ上では、グループチャットでスポーツ観戦などのイベントの日程調整を行なうエージェントの利用方法を説明。「来月あたり野球を見に行く」というテーマに対し、試合日程を調べて日程の候補を提示。それを受けて各ユーザーのエージェントが各自のカレンダーをチェックし、参加可能な日程を示す。「あと1人集まれば実施できる」という場面では、個別のチャットでメッセージを送信し、「△の予定を○に変えられませんか?」といった交渉までを行なうという。

 次に登壇したのは、上級執行役員 コーポレートビジネスドメイン CPOの二木祥平氏。ビジネスユーザー向けのサービスについて説明を行なった。

 ビジネスユーザー向けには「Agent i for Business」として、接客やサポートを行なう「LINE OA AIモード」と、集客や分析を行なう「Agent i Biz」の2つのサービスが提供される。

Agent i for Business

 LINE公式アカウント(OA)では、夏頃からAIモードが利用可能となる。二木氏は、Zoffと検討を進めている事例をデモンストレーション。ユーザーに対し、前回作ったメガネで気になるところはないかと聞きながら、新しいメガネの購入に誘導し、欲しい商品のイメージを聞き、オススメを提示。ところどころでヨイショしながら、試着、オンライン購入と音声による自然なコミュニケーションで進めていく様子が示された。

 焼き鳥屋を予約するデモでは、過去の予約履歴からいつものコースを提案したり、誕生日クーポンがあることを伝えたりしながら予約可能な日時を提示しつつ、最後の最後でユーザーが日程を勘違いしており、予約を1日後ろにずらすといった人間臭いリクエストにも自然に受け答えし、予約を完了していた。

 二木氏によれば、すでに20社以上のパートナーと同様の検討を進めており、大手ブランドやメーカー、飲食、美容といったさまざまなジャンルでAIモードによる接客サービスを提供していく。さらに、アーティストやインフルエンサーがファンとコミュニケーションを取るためにAIモードを利用できるように拡張していくとしている。

 一方のAgent i Bizは、LINEヤフーが提供する広告サービスやショッピングプラットフォームといったビジネスサービスの使い方をAIが手取り足取り教えてくれるというもの。

 ECサイトを運営しているが「人は来るが、なかなか購入コンバージョンに至らない」という相談に対し、AIが最適な集客プランを提案。二木氏は「プランニングの後、管理画面を1つずつ遷移しながらポチポチ設定する苦労あったが、それももう必要ない。運用エージェントが勝手に全てやってくれる」とアピールする。

 このほか、定期的なタスクの実行やレポーティングといった業務や、クーポン用のクリエイティブ画像の制作などの業務もこなせるという。ただし、利用できるのはLINEヤフーが提供するサービスの範囲内のみとなっている。

 一般ユーザー向けのAgent iについては、無料での利用がベースとなるが、将来的に複雑な処理の実行を伴うようなサービスが登場した際には必要に応じて課金も行なっていく可能性があるとのこと。

 企業向けのサービスについては、AIモードの料金体系は未定、Agent i Bizは基本無料としつつ、機能によってオプション料金を設定するとしている。

今後のロードマップ