清水理史の「AI道場」

手軽さの代償は溶けるクレジット! 「Claude Design」を使ってみた

Claude DesignでSlide deckを作っている様子

 2026年4月、Claudeから、Webページやスライド、動画など洗練されたビジュアル作品を制作できるツール「Claude Design」がリリースされた。「おまかせ」で各種デザインを作ってくれるツールなのだが、従来の生成AIと決定的に違うのは、その整合性、柔軟性の高さだ。利便性は高いものの、クレジットもあっという間に溶けていくClaude Designを実際に使ってみた。

Claude Designとは

 Claude Designは、2026年4月23日現在、リサーチプレビューとして公開されているClaudeのデザイン機能だ。Proなどの有料プランのユーザーであれば、左側のメニューから「Design」を選択することで利用可能になっている。

 何ができるのかというと、次のような機能が用意されている。

・組織のロゴやフォント、キャラクターなどを「Design system」として適用できる
・Webページやアプリなどの画面デザインを「Prototype」で作成できる
・プレゼンテーション用のスライドデザインを「Slide deck」で作成できる
・「Animation」などのテンプレートを使ってコンテンツを作成できる
・「Tweaks」で再生成なしに画面上のデザインを切り替えながら結果を確認できる
・作成したデザインの画面上での直接編集やAIへの修正依頼が可能
・複数ユーザーで共有し、コメントでフィードバック可能
・PowerPointやPDF、Canvaなどにエクスポート可能

 従来のClaudeでも、プレゼンテーションやWebページなどを作成することはできたが、「Design」のメリットは、「その場で編集・修正できること」「組織やプロジェクトのブランドを適用できること」「他のシステムや人と共有できること」の3つと言える。

 最初に断っておくが、この機能は、非常に面白いし、完成度も高いが、とにかくあっという間にクレジットが溶けていく。現状は、通常のチャットやCoworkとは別に利用枠が設定されているが、おそらく「Design systemを作る」「作ったDesign systemでSlide deckを作る」「編集する」程度の使い方で1週間の上限に到達する。

 もちろん、追加のクレジットを使って利用を継続することができるが、本稿で紹介している例を試すだけでも、20~30ドルの追加使用料が必要になる(詳細は後述するがデザインの破綻の発見と修正の繰り返しが多いほど使用料は増える)。あらかじめ追加使用料を購入してから使うことをお勧めする。

Claude Designの使用量の制限。1週間の制限はあっという間に到達。本記事の作成で30ドル近い追加使用料を消費した

Claude Designのキモは「Design System」

 Claude Designは、何の準備もせずにスライドなどを作成し、編集することもできるが、できれば最初に「Design System」を作ることを強くお勧めする。

Design systemを定義することで、作成するWebページやスライドのデザインルールやガイドライン、ブランド定義などを適用できる

 Design Systemは、Webページやスライドなどを作るときに参照すべき、デザインルールやガイドライン、ブランド定義といったところだ。どのフォントを使うか、どのような配色にするか、ボタンやリストのコンポーネントのデザインはどうするか? といった基本的な定義に加え、どのようなロゴを使うか? どのようなキャラクターやマスコットを使うか? といた点を指定する機能だ。

 UIキットとして、「フライヤー」の場合、「ウェブサイト」の場合など、細かな用途向けに複数パターンを定義することも可能で、例えば、イベントチラシの場合は「フライヤー」キットを使うとか、ダッシュボードなどのプロトタイプの場合はMUI(Reactコンポーネント)デザインキットを使うといったように、Design System内でも用途ごとにUIキットを使い分けることができる。

 つまり、Claude Designでのコンテンツ作成時に、必ず自社のロゴやコーポレートカラーを使いたいとか、自分が関与しているプロジェクトやブランドのデザインで資料やサイトを統一したい、といったときに、このDesign Systemsを選択しているかどうかで、結果が大きく変わることになる。

UIキットとして、ダッシュボードなどを作成するときに特定のReactコンポーネントを使うことも指定できる

 これは、一から作ると大変な作業だが、もちろんClaude Designでは、ほぼお任せで作成してくれる。

 例えば、以下のように、既存のWebページのキャプチャ、過去に作成したチラシの画像、キャラクターやマスコットの画像などを複数用意し、Design System作成時にドラッグで登録すれば、自動的にフォントやカラーなどの情報を解析して定義を作成してくれる。

 このほか、githubのレポジトリから素材やReactコンポーネントを取り込んだり、使いたいフォントをアップロードしたり、既存のWebページのURLを指定したりすることもできる(詳細はClaude Supportを参照)。

Webのスクリーンショットや既存のスライドなど、デザインの参考になるデータから自動的にDesign Systemを作成できる

 そして、「Prototype」や「Slide deck」などの作成時に、このDesign systemを選択することで、あらかじめ定義されたルールに従ってWebページやスライドを作成できる。一般的なチャット型の生成AIでは、こうしたルールやブランドに従ったデザインの作成が難しかったが、Claude Designであれば簡単にでき、しかも複数Design systemを使い分けることで、用途や顧客に合わせた出力が即座に得られることになる。

 この整合性の高さは、Claude Designを利用する大きなメリットとなる。

スライドを作成してみる

 それでは、実際にコンテンツを作ってみよう。一般ユーザーの場合、Webページを作るというケースは少ないので、ここでは、架空の地域交流イベントのアンケート結果の表を基にプレゼン用のスライドを作成する例を紹介する。

「Slide deck」タブで、プロジェクト名として「地域交流イベント振り返り」と入力して、上記で作成したDesign Systemを選択して作成を開始する。その後、通常のチャットAIのように自然言語やファイルでスライドの作成を指示する。すると、いくつかの質問が表示されるので、これに回答する。あとは、ひたすら待てばスライドが自動的に完成する。

左側でSlide deckの作成時に、作成済みの「Design system」を選択すると、そのデザインが自動的に適用される
左側のチャット欄にプロンプトや資料を登録して作成を開始する
Claude Designからの質問に回答。データの中身について把握したうえで質問しているうえ、Design systemのキャラクターの登場頻度なども聞いてくる

 ちなみに、Claudeは、今回のDesignだけでなく、Coworkなどもそうだが、稼働中のプロセスは、結果出力後でかまわないので、必ず確認した方がいい。ここに試行錯誤の様子が記述されているので、大量にトークンを消費し、クレジットが溶ける原因を特定できる場合がある。

 筆者が経験したケースでは、例えば、生成後のチェック過程で画像の余白部分を検出し、透過画像にしたり、サイズを調整したりするのに手間取るケースがあった。また、修正点を検索する際に、日本語のフォルダー、ファイル名で失敗するケースも見られた。あらかじめ透過画像を用意するとか、ファイル名を英語にしておくなどの対処をした方がいい。

左側のログに注目。自律的にデザインの破綻を検出して修正するため、こうしたプロセスで大量にクレジットが消費される

 もちろん、そんなこと気にせず、自律的に試行錯誤して、課題を解決してくれることこそClaudeのメリット、というのもその通りなのだが、あらかじめ対応できそうな課題を理解して、できるだけ避けるというのが、今後、Claudeをうまく使うコツになっていくと言えそうだ。

 話を戻そう。スライドが完成したら、まずは[Tweaks]を使ってみるといい。最初の質問の回答次第では標準で有効になるケースもあるが、Tweaksからデザインやデータについて変更を依頼すると、全体を再生成することなく細かく微調整するためのコントロールが表示される。ここを変更することで、画面上のデザインをその場で確認し変更できる。

Tweaksで動的にデザインを変更できる

 編集したい場合は、上部の「Edit」をクリックすればいい。これで、スライドの文字を編集したり、プロパティ方式となるが、画像要素のサイズを変更したり、色を変更したりできる(直感的に編集したいなら、「Share」から「Canva」を選択して出力する手もある)。

 また、「Draw」で画面上にマウスで描画できるようになっており、不要な部分を囲んで「囲んだ部分を削除して」などと依頼して修正することもできる。

また、画面上のオブジェクト(テキストや画像)を選択して、コメントを入力することもできる。コメントは、この編集画面を共有したチームのメンバーに宛てにレビューコメントとして入力することもできるが、「Claude」に対してコメントすることも可能になっている。このため、「フォント大きく」のように、オブジェクトの修正を自然言語で依頼することも可能だ。

Editで文字などもその場で編集できる
Drawで画面上に線を書き込んだり、その部分に対して指示を入力したりできる
コメントはメンバー(人間)との共有用と、Claude用がある

出力すると情報が失われるケースもある

 作成したスライドは、「Share」ボタンから他のユーザーと共有したり、他の形式で出力したりできる。

 出力形式は、PDF、PPTX、Canva、HTMLなどが選択可能だが、Claude Designの画面上の表示がそのまま出力されるとは限らない。例えば、PowerPoint形式の場合、背景が白に統一されてしまったり、フォントが変化したり(特にDesign systemで特殊なフォントが指定されている場合)、一部のレイアウトが崩れたりするケースがある。このあたりは、まだ改善の余地はありそうだ。

PowerPointへの出力結果。フォントやレイアウトが変更される場合もある

スライドからSNS投稿アニメも作れる

 最後に、テンプレートとしてあらかじめ用意されている「Animation」でショート動画を作ってみた。

 Claude Coworkの紹介動画を撮影した際に使ったプレゼン資料を読み込ませ、前半で紙芝居のように画面で説明しているCoworkの使用例を動画にさせてみたところ、以下のような動画が出来上がった(複数パターン生成と動画の自律的な修正でかなりの時間とコストが消費された)。

アニメーションも作成可能

 きちんとDesign systemで定義したマスコットキャラクターを使って説明しており、静止画の紙芝居画像も、アニメーション効果で動いているように見せてくれている。よくよく見ると、修正したいところがいくつか見えてくるが、一発で、これを生成できるのだから大したものだ。

 GoogleのNotebookLMもそうだが、骨子のしっかりとした資料(書籍やプレゼン資料)から、派生コンテンツを生成する作業は、年々、完成度が上がっている印象があるが、このClaude Designもまさにそうしたサービスの一つと言えそうだ。

とっつきにくいが体験しておいたほうがいいい

 以上、Claudeからリリースされた「Claude Design」を実際に試してみたが、なかなか面白いサービスと言える。コストの問題さえクリアできれば、実用性も高いサービスと言えそうだ。

 しかしながら、Claudeのサービスは、Codeも、Coworkも、今回のDesignもそうだが、とっつきにくいというか、何から始めて具体的にどうメリットがあるのかが、パッとつかみにくい印象がある。

 特に、今回のClaude Designの場合、Design systemの役割が重要で、ユーザーが手にする成果物の完成度に直結するわりに、そもそも何なのか? どう作ればいいのかがわかりにくいのが難点だ。

 ただ、使ってみると、面白いうえ、実用性も高いので、ぜひ体験してみることをおすすめする。とりあえず30ドルくらい課金することは覚悟して、試行錯誤している価値は十分にある。