ニュース

早稲田大学の研究グループ、ローカル5G経由での放送を安定化

ラストワンマイルにローカル5Gを用いたケーブルテレビへの移行イメージ

 早稲田大学の甲藤二郎教授らの研究グループは9月9日、NECネッツエスアイとの共同研究で将来の電波状況をAIでリアルタイムに予測し、安定性を優先して映像の途切れを防ぐ軽量なモデルを開発したと発表した。実際に映像の途切れを抑えつつ安定して再生できることが、5Gネットワークを用いた検証で確認されている。

 ケーブルテレビは全国テレビ放送や緊急情報を届ける重要なインフラだが、古い集合住宅では光ファイバーへの置き換えが費用・工事面で困難なケースが多いため、5Gの電波を使用して一度に多くの家庭へ映像を届ける「5G Multicast/Broadcast Services(5G MBS)」が注目されている。

 同研究は、通信の目的を「画質の最大化」から「映像の確実な伝送」に転換するもので、将来の映像受信について、5Gの28種類のMCSそれぞれで送信した場合にエラーなしで受信される確率を予測し、0.1秒先の電波状況を開発したAIモデルで推定して通信状態が悪化する前に適切な設定へ切り替えられるようにした。

 同モデルの特徴は、「すべての送信設定に対して成功確率を出力するため、画質と映像停止リスクのバランスを柔軟に調整」「『楽観的すぎる予測』を特に厳しく罰する独自の学習方法を採用」「実際の商用5Gネットワークから0.5ミリ秒間隔で収集した約2600万件のデータを学習に利用」「スマートフォンがもともと収集している測定値だけを入力」の4点。

 実際の5Gネットワークデータを用いた検証で用いたモデルは、映像セグメントの約87%でエラーなしに届けられる設定を選択した。一方、画質優先の従来手法では約32%にとどまり、楽観的な予測を抑制することで、映像停止のリスクを削減できることを確認したという。

同技術で提案するAI予測の構成図

 同研究により、配線工事をする必要がなくなり、ローカル5G経由で高画質テレビの安定した配信ができるようになり、光回線の届かない地域でもケーブルテレビサービスの高度化やデジタルデバイドを解消できるとしている。