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Google DeepMind東京拠点の全貌、音声AI基盤開発から高齢化社会の課題解決まで
2026年9月9日 19:55
Google DeepMind(GDM)は9月9日、東京拠点における研究開発の取り組みやグローバル展開の戦略に関する報道関係者向けのラウンドテーブルを開催し、プリンシパルサイエンティスト 兼 東京拠点リードの全炳河氏がプレゼンテーションを行なった。
同氏は、日本国内に研究開発拠点を置き、フロンティアモデルの開発に直接携わり続ける同拠点の役割と、日本ならではの社会的課題に挑む直近の研究動向について説明した。
組織の深化と東京拠点の立ち上げ
GDMは、2010年にロンドンで誕生したDeepMindと、2011年にマウンテンビューで発足したGoogle Brainという2つの組織をルーツに持つ。両組織は2023年に統合され、GoogleのAI研究開発部門として新たなスタートを切った。2024年にはAlphaFold 2に関する業績でデミス・ハサビス氏らがノーベル化学賞を受賞し、2025年にはGeminiシリーズをはじめ、画像・動画・音楽生成モデルなどで実績を重ねてきた。2026年現在では、AIエージェントの一般普及やヒューマノイドに代表されるフィジカルAIの進化を牽引している。
日本においての活動は、2018年に全氏らが設立したGoogle Brain Japanに遡る。その後、2023年の組織統合を経て、2025年にGDMの正式な拠点となっている。アジア太平洋地域における重要なハブとして、バンガロールやシンガポールなどの拠点やグローバルチームと密接に連携しながら、世界規模での成果創出を目指しているという。
フロンティアモデルを支える音声AIの技術基盤
全氏によれば、東京拠点における強みの一つが、モデル全体の知能を底上げするホリゾンタルな基盤技術である音声AIの研究開発。自身が「WaveNet」をはじめとする音声生成モデルの開発に長年携わってきた経緯もあり、東京拠点には最先端の音声AI研究者が所属し、日々研究を重ねている。
Geminiにおける音声処理では、従来のようなテキストへの変換を行なわず、音声波形をそのまま「音声トークン」に変換するマルチモーダル処理方式を採用。音声トークナイザーとデトークナイザーを介して直接AIモデルとやり取りすることで、話し手の抑揚や感情といったニュアンスを維持したまま、シームレスでリアルタイムな音声対話を実現している。
東京チームは単なる日本語ローカライズにとどまらず、Gemini本体の音声能力やフロンティアモデル自体の基盤開発を世界基準で推進しており、すでに音声タグ機能のリリースや音声対話性能の向上に大きく貢献している。
応用領域の開拓と日本発の課題解決
特定のアプリケーションや産業分野に特化したバーティカルな研究開発においても、東京拠点は独自の存在感を示している。ゲーム分野では、自然言語の指示に従ってさまざまな3D仮想環境内で自律行動するエージェント「SIMA」のプロジェクトに2025年末から参画し、視覚・言語・行動を統合したモデルの研究を進めている。
また、少子高齢化が進む日本の社会課題を見据えた取り組みにも着手している。身体機能が低下した高齢者でも、キーボードなどの複雑な操作を行なわず、自然言語でAIエージェントを操作できるようにすることで、日々の生活や活動をサポートするための基礎研究にも取り組んでいるという。その一環として、介護現場における作業記録の作成時間を短縮するGoogle Workspace向けケアアシスト機能や、高齢者にも使いやすいインターフェイスを目指したシンプルガイド機能といった成果が見えはじめている。
国内パートナーとの連携も活発に行なわれており、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)とのAI Co-Scientistを活用した共同研究や、東京大学とのAIチューター性能評価、ウェザーニューズなどとの台風予測改善プロジェクトなどが進行している。また、Gemini Roboticsモデルを国内のパートナーに公開するなど、フィジカルAI領域での技術検証も行なわれている。
日本の強みと今後の課題
日本市場におけるAI開発の優位性について全氏は、優秀な人材が揃っている点や、現場で試行錯誤を重ねて質を高めるカイゼンの精神がAI開発の加速に寄与している点を挙げた。一方で、最先端のリアルタイム音声対話を追求する上では演算コストやモデルサイズのバランスが技術的な壁となっており、今後は計算効率の最適化とモデル性能の両立が鍵を握ると見ているとのこと。
日本で取り組んでいるSIMAと高齢化社会に対する取り組みでの課題感を全氏に聞いたところ、「SIMAに関して言えば、短いタスクはできるが、このゲームクリアして、みたいな長いタスクはまだまだ難しく、そこは課題と思っている。高齢化社会に関しては、まずは問題が何なのかを見つけ出さないといけない。対話をするところから開始していきたい」と話していた。


















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