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NTT、AI時代の光ネットワーク全長を『診る』機能を通信用DSPチップに搭載
2026年5月26日 20:39
NTTは、光ネットワークの受信端に設置される小型光トランシーバーのみで、通信しながら光ネットワーク全長の状態を可視化する機能を、世界で初めて通信用DSPチップに搭載した。同技術により、AI時代を支える光ネットワークをエンドツーエンドで常時監視でき、運用保守が効率化する。
背景
近年、AI需要の拡大により、データセンター間の光ネットワークや基幹光ネットワークの大容量化・広域化が加速している。NTTグループが展開するIOWN APN(All-Photonics Network)もこの潮流を支える次世代インフラであり、光電融合デバイス技術を活用することで大容量・低遅延・低消費電力な通信を実現する。こうした大容量光ネットワークの拡大に伴い、その安定運用の重要性も高まっている。
光ネットワークの安定運用には、光信号パワーを全長にわたって把握し、異常な損失箇所を早期に発見・特定することが欠かせない。従来はOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)などの専用測定器による測定作業を要し、運用保守コストがかさむだけでなく、通信サービスを提供しながら常時エンドツーエンドで監視することは困難であった。
これに対しNTTは、これまで測定器を使用せず、光トランシーバーが受信する通信信号のみから光ネットワーク全長の光信号パワーを可視化する技術を開発してきた。同技術は莫大な計算リソースを必要とするため、従来の実証は外部計算機等を用いた原理実証にとどまっており、実際の光ネットワークへ広く導入するには商用光トランシーバーへの搭載が不可欠だった。
本研究の成果
本研究では、世界で初めて光ネットワーク全長を可視化する機能を、光トランシーバー内部の通信用DSPチップ上に実装し動作実証に成功。新たに開発した独自技術を使用し、可視化に必要な計算処理量を従来比100分の1に削減することで、消費電力や実装面積の制限が厳しい通信用DSPおよび小型光トランシーバーへの搭載が可能となった。
その結果、光ネットワークの異常箇所を特定できる世界初の光トランシーバーを実現。本技術による測定結果は、専用測定器による測定結果と一致しており、異常箇所の特定に十分な精度をもつことが確認された。
実験の概要
NTTは本ネットワーク可視化技術を、NTTイノベーティブデバイス社製の通信用DSPチップに実装。このDSPを搭載した小型プラガブル光トランシーバー(OSFP)を用い、標準的な通信信号(800ZR+/400ZR+)を受信・処理するだけで、最大1,005kmの光ネットワークにおける複数の光パワー異常を位置特定できることを実証した。
また、他社製の光トランシーバーからの送信信号を受信した場合でも正常に動作することを確認し、マルチベンダ環境を含む実際のネットワーク環境への適用性を証明した。
さらに、測定中も通信品質や消費電力への影響がないことから、通信を行ないながら光ネットワーク全長にわたって分布的に常時モニタリングが可能であることを示した。
今後の展開
本成果では、通信を行ないながら光ネットワーク全長を可視化する機能を、世界で初めて通信用DSPチップおよび小型光トランシーバーに実装したものである。これは従来の光トランシーバーにはない機能であり、光トランシーバーが「自ら異常を見つける」ことで、光ネットワークの運用保守に大幅な効率化をもたらすと期待される。
NTTは今後、「IOWN APNをはじめとした光ネットワークへの本技術の実装を進め、AI時代を支える大容量光ネットワークの常時監視と自律運用の実現に向けた研究開発を加速していきます」としている。



















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