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MetaMoJi、次世代教育AI「SHUUSAI」を発表
2026年10月22日 18:26
MetaMoJiは10月22日、次期学習指導要領を見据えた文教事業戦略として、独自開発の教育AI「SHUUSAI(シュウサイ)」を発表した。2027年3月より、同社の主力製品となるリアルタイム学習支援サービス「MetaMoJi ClassRoom 3」へ追加費用なしの標準機能として組み込まれる。
1人1台端末の普及に伴い、教育現場がハードウェアの整備から学びの質的転換へとシフトする中、同社では従来の学習支援ソフトの枠組みを刷新し、学びの全プロセスに伴走する包括的プラットフォームの構築を目指している。
代表取締役社長の浮川和宣氏は発表会において、かつてジャストシステム時代に「一太郎」や「ATOK」を手がけて以来、機械が人間に合わせるべきだという信念のもとでソフトウェアを開発してきた歴史を振り返った。生成AIの登場によって人間の思考や創出の営みそのものが変容しつつある現在、AIの回答を鵜呑みにせず、自ら課題を見つけて問いを立て、判断して実践する人間の考える力こそがより重要になると強調。SHUUSAIという名称には、天賦の才を意味する天才に対し、自ら学び努力を重ねて能力を培う人を支援したいという願いが込められているという。
「動的コンテキスト編成」と独自アーキテクチャー
同社は、教育現場における生成AI導入の大きな障壁となってきたのが、プロンプト作成にかかる負担や出力品質のばらつき、ハルシネーションのリスクだと指摘。セマンティック技術開発部長の高藤淳氏は、教員がプロンプト作成に過度な時間を費やす現状を打開するため、SHUUSAIではプロンプト記述そのものを不要にする「動的編成コンテキストセット」を採用したと説明した。
このアーキテクチャーは、校務や教務の実務体系を知識工学や言語学などの多面的知見に基づき情報アーキテクチャーの観点から再編したものとされる。教員は行ないたい目的を選択し、学年や教科といった最低限の情報を入力するだけで、動的コンテキスト編成器が必要なプロンプトを含む最適なコンテキストを瞬時に生成し、LLMに渡す仕組みとなっている。
プロンプト・エンジニアリングやコンテキスト・エンジニアリングをシステム側で事前に高度にチューニングしているため、現場のスキルに依存せず常に均質な出力を引き出すことができるという。
独自の「マルチエージェント・オーケストレーション」を採用しているとのことで、単一の大規模言語モデル(LLM)に依存するのではなく、目的やタスクの特性に応じて世界中のさまざまな基盤モデルを柔軟に選択・統合して処理を行なう。これにより、教育に特化した高精度な回答を生成すると同時に、学校現場の実装で不可欠となるトークンコストの削減と経済性の両立を実現していくという。
「人の知」と融合する思考力育成と個別最適化モデル
SHUUSAIの核となる思想は、生成AIが持つ「機械の知」と、各学問分野の専門家が培ってきた「人の知」の融合。国語教育の専門家をはじめ、各分野の専門家との共同研究を通じ、教育メソッドを深くアルゴリズムに落とし込んでいる。
代表取締役専務の浮川初子氏は、思考力の源泉は母語力にあると指摘する。SHUUSAIでは言語的思考力を鍛えるため、習熟論に基づく文章推敲支援や論理的文章の構築支援、振り返り時の言語化支援機能を備える。さらに、図解学の概念を組み込んだ「言語的思考と視覚的思考の循環モデル」を提示。児童生徒が書いた文章を図解化して構造や論理関係を可視化し、それを再び言葉へと再構成する双方向の思考プロセスを支援することで、児童生徒同士が相手の思考を深く理解し合う対話的な学びを促す。
個別最適な学びの実現に向けては、「ユーザーモデリング」と「状態モデリング」の2軸でアプローチする。心理学や脳科学の知見を応用し、児童生徒の認知特性(視覚優位・言語優位・聴覚優位など)や性格傾向を測定してメンタルモデルを把握するとともに、ルーブリックや習熟度メトリクスといった表現手法を用いて日々の学習履歴から現在の習熟状態をモデル化する。
たとえば歴史の年号学習において、視覚優位の生徒には色分けやイメージ化を用いた手法を提示し、言語優位の生徒にはストーリー展開による関連付けを提案するなど、個々の特性に応じたレコメンドを提供する。
教室の実践を変える機能群とレスポンシブルAI
文教営業部長の福原秀伯氏による実機デモでは、2027年3月にMetaMoJi ClassRoom 3へ先行搭載される具体的な機能群が公開された。児童生徒が壁打ち相手として使える「AIチャット」は、答えを直接提示するのではなく、段階的な問いかけによって自ら解法を導かせる伴走型の対話設計が施されている。児童生徒はノート上の手書き筆算や図表などのオブジェクトをシームレスにAIへ参照させることができ、対話履歴はすべてノートに保存され教員も後から確認できる。
教員の負担が重い評価基準の策定に対しては、「ルーブリック自動生成機能」が支援を行なう。学年や教科、単元の目標を入力するだけで、発達段階に応じた適切な表現による評価指標表が即座に生成され、教員による修正も自在に行なえる。このほか、付箋に書き出された児童生徒の多様な意見を瞬時に分類・可視化して班活動を支援する「グルーピング機能」や、学習成果を分析して教員向けに所見の下書きを提案する「先生コメント作成支援機能」が実装される。
MetaMoJi独自の技術的強みとなっている手書き認識も利用可能で、高度な手書き数式や縦横混在文字のテキスト化、体育の授業などで活用できる身体骨格線の検出表示機能なども披露された。
また、安全面においては、総務省および経済産業省が定める「AI事業者ガイドライン」に準拠した開発を徹底。多層的な防御機構(スイスチーズモデル)に基づくガードレールを配備し、個人情報の保護や不適切な出力の遮断、過度な依存の防止を図っている。運用にあたっては教員が介在する「Human-in-the-loop」を基本方針とし、学校現場との合意形成のもとで安全な利用環境を担保していく。
2027年に向けたロードマップと文教事業の展望
法人事業部長の植松繁氏からは、次期学習指導要領における小学校「情報の領域」や中学校「情報・技術科(独立再編)」の新設といった教育課程の変革を見据えたロードマップが示された。
同社では2027年3月にClassRoom 3へのSHUUSAIの標準搭載を開始すると同時に、主要5教科と情報ドリルを網羅した小学校向けソフト「メタモジドリル」を年額4,800円で発売する。このドリルは2027年度中にSHUUSAIを統合した「AIドリル」へと進化し、個々の習熟度に合わせた最適な問題セットの自動生成などに対応する予定。
さらに、2027年夏には希望校による実証実験を経て、2027年冬には校務文書作成や授業設計支援機能を大幅に拡張した「単体製品版SHUUSAI」の発売が予定されている。単体製品版では、他社製の校務支援システムや学習ダッシュボード、デジタル教科書との連携が図られる計画。これに先立ち、開発中のプロトタイプを用いた先行試用校の募集も同社Webサイト上で間もなく開始される。















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