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KDDIとRLWRLD、フィジカルAI基盤モデル開発で連携強化

GENIAC採択を受け小売・物流の自動化へ

RLWRLD 日本法人代表のHoon Lee氏(左)とKDDI オープンイノベーション推進本部 OIビジネス開発部 1G コアスタッフの貞光雅徳氏(右)

 KDDIとフィジカルAIスタートアップのRLWRLD(リアルワールド)は、小売や物流現場での実用化を目指したロボット向けAI基盤モデルの共同研究開発を本格化させている。両社は経済産業省主導の生成AI開発支援プログラム「GENIAC」に採択され、日本国内の現場環境に特化した高度なフィジカルAI基盤モデルの構築に着手した。

 9月18日に都内で開催された取材会では、力・触覚・作業記憶を統合処理する最先端モデル「RLDX-1」の日本ラボ内での実機デモが披露されたほか、RLWRLD 日本法人代表のHoon Lee氏とKDDI オープンイノベーション推進本部 OIビジネス開発部 1G コアスタッフの貞光雅徳氏によるパネルディスカッションが行なわれた。

RLWRLD「RLDX-1」の日本ラボ内での実機デモ

 両社のパートナーシップは、2025年初頭におけるKDDIのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じたRLWRLDへの出資が起点となっている。出資直後の4月からはKDDIのグループ会社であるローソンの店舗や現場視察を開始し、8月には陳列のPoCをスタート。さらに年末には店舗におけるシミュレーションデータ収集に発展させるなど、段階的に実証実験を積み重ねてきた。

 今回のGENIACプロジェクトでは、今後1〜3年をかけて日本の産業構造にあわせた基盤モデルを整備する計画で、取り組みの中心となるのは「データ収集技術の開発」と「モデル自体の開発」の2点となる。

 従来のテレオペレーション(遠隔操作)のみによるデータ取得は工場建設などのコストや拡張性に課題があるため、作業者がカメラ付きのメガネなどを着用して撮影する1人称視点(エゴセントリック)データを積極的に活用。RLWRLDが保持する独自のデータ変換技術を活かし、1人称視点映像やマルチカメラ映像からテレオペレーションと同等の高品質な学習データを生成することで、年間3,500時間相当の密度の高いデータ収集を図っていく。

 技術面では、複数カメラの映像から接触面の力を推測する「Vision-to-Force」技術を組み込み、視覚情報から触覚・力覚データを精度高く補完する。ベースモデルにはRLDX-1などを活用し、ローソン店舗のバックヤードでの荷分けから店頭棚への陳列に至る一連のピック&プレイス作業の生データを学習させる。ルールベース制御とVLA(Vision-Language-Action)モデルを柔軟に組み合わせることで、動作速度と精度の両立を図り、人手不足が懸念される現場でのオペレーション代替を目指す。

 両社は得られた成果を自社利用のみに閉じ込めることなく、ハードウェア連携ノウハウや収集データ、基盤モデルを広く外部へ公開するエコシステムの構築を掲げており、国内外のハードウェアメーカーや現場フィールドを保有する多様な事業者と連携して技術循環を生み出すことで、日本のロボット市場全体の活性化を主導していく構えだ。

 RLWRLDのLee氏は、「フィジカルAIが2~3年後に労働力そのものになる時期が来れば、桁が違うインパクトがある技術であることは間違いない」と今後の可能性について言及。データ収集の技術面に関しては、「エゴセントリックカメラと固定カメラからテレオペレーションに相当するデータに変換する独自技術を持っており、Vision-to-Force技術によって視覚から触覚を推測することも可能だ」と自信を覗かせた。

 KDDIの貞光氏はプロジェクトの背景について、「フィジカルAIによって日本の生産現場が大きく変わるという狙いがあり、事業に取り入れたいというモチベーションがあった」と語る。さらに、フィジカルAIを実際の事業に実装していく上での社内調整の難しさや連携の重要性について触れ、「フィジカルAIを推進するためにはR&Dの担当部門だけでなく、事業部との連携が不可欠であり、全社で納得できるようなロードマップを作成して合意形成を図ることが重要だった」と振り返り、後に続く日本企業にエールを送っていた。