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Notion CEOが語る「コンテキストレイヤー」としてのAI戦略
2026年10月1日 19:05
Notionは10月1日、報道関係者向けのラウンドテーブルを開催し、Notion Labs 共同創業者 兼 CEOのアイバン・ザオ氏、Head of Product at Notionのマックス・ショーニング氏、日本法人 ゼネラルマネージャーの青木友氏がAI時代における事業戦略や日本市場における取り組みを語った。
ザオ氏によれば、日本は米国に次ぐ同社第2の市場であり、大手企業を中心としたAI活用の広がりを背景に高い成長率を記録しているという。世界的に多様なAIエージェントの開発競争が激化するなか、Notionは特定のモデルに依存しない「コンテキストレイヤー」(AIのための統合コンテキスト基盤)の構築に注力する方針だ。
世界中で多くの企業がAIの導入を模索する中、Notionは顧客のAI導入状況を4つのレベルに分類している。レベル1はAIをチャットボットのように思考のパートナーとして使う段階で、同社の調査では日本の顧客の66%がこのレベルに止まっている。
レベル2はAIをアシスタントとして活用する段階、レベル3はAIが独立したチームメイトとしてバックグラウンドで自律的に働く段階、レベル4はAIが企業のオペレーティングシステムの一部として統合される段階とされる。
ザオ氏は、レベル1・2とレベル3・4の間には大きな壁が存在すると指摘する。その原因は、コンテキストと呼ばれるデータがさまざまなツールに分散しているコンテンツの断片化と、組織の硬直性にあるという。
多くの企業がAIエージェントを知識労働の入口として活用し始めているが、データソースにAIを接続するためのプロトコルを利用すると、アクセス権限の管理やセキュリティ、トークン消費にかかるコストの問題が発生する。この問題を解決し、真の自動化を実現するためには、モデルから独立した統合コンテキスト基盤である「コンテキストレイヤー」の構築が不可欠であるとする。
Notionでは、ドキュメントやデータベース、外部ツールとの連携情報を一か所に集約し、厳格な権限管理やガバナンスの下でAIに提供する橋渡し役となることを目指している。
これにより、各エージェントがより少ないトークン消費で高精度なアウトプットを出せる環境を整えるとともに、AIモデルを自由に選定できるポータビリティを実現する。今後は、自然言語によるエージェント構築、繰り返し業務を効率的に処理するWorker機能、組織内でノウハウを共有・展開するスキルライブラリーなどの機能拡充も進めていく計画だ。
8月に就任したばかりの青木氏は、日本国内における事業成長が顕著だとして、8月時点における日本のエンタープライズ領域の年間経常収益(ARR)が前年比で169%を記録しており、グローバル全体でもAI機能が関与するARRの割合が66%に達するなど、AIを軸とした導入が急増していることを紹介した。
また、同社では10月1日付で政府情報システム安全管理評価制度(ISMAP)への登録完了を発表しており、日本国内において安心して利用できるようにさまざまな取り組みを進めている。
これに伴い同社では、従来の営業中心の組織から、顧客の業務課題の確認やワークスペース構築を初期段階から伴走する体制へと刷新したという。ザオ氏は、こうした変革について、「マーチングバンド」から「ジャズバンド」への変化に例える。柔軟な組織運用をベースに、ソリューションコンサルタントやアウトカムズアーキテクトといった専門職を配置し、アビームコンサルティングなどのパートナー企業との協業も拡大している。
ショーニング氏は、エンタープライズ企業がAIを展開する上で直面するポータビリティ、ガバナンス、投資対効果(ROI)といった課題について言及した。
企業は特定のAIモデルへの依存によるベンダーロックインを避け、より低コストな小規模モデルやオープンウェイトモデルを組み合わせて活用する流れに向かっている。Notionは自社でAIモデルを提供する企業ではないため、さまざまなモデル間で一貫したコントロールプレーンを提供できることが強みだとする。
具体的なプロダクトのロードマップとして、自然言語でエージェントを構築する機能や、繰り返し行なわれる業務プロセスをコード化して共有できるスキルライブラリ、AIエージェントがバックグラウンドやスケジュールベースで自律的に稼働する仕組みが挙げられた。
さらに、エージェントが昼夜を問わずデータにアクセスして処理するスケールに対応するため、データベースの上限を25万行から1億行規模へと大幅に引き上げる開発も進めている。人間が変更履歴を管理するのと同様に、エージェントが自律的に行なった変更を把握し、元に戻すことができるバージョン管理機能の拡充や、APIを通じた権限やコスト管理の徹底にも注力しているとのことだ。
同社が実施した調査によると、日本企業の66%は未だにAIを文章の要約やアイデア出しといった個人アシスタント的に利用する「レベル1」の段階に止まっている。Notionは、AIをチームメイト(レベル3)や組織システムそのもの(レベル4)へと昇華させるためには、ツールの提供に止まらず、チェンジマネジメントや明確な組織ダイレクションが必要不可欠であることから、今後も企業や団体のナレッジ基盤としてコンテキストレイヤーを提供し、日本市場における本質的なAIトランスフォーメーションの実現を支援していくとしている。
質疑応答では、日本市場の特異性や今後の展望についても議論された。ザオ氏は、日本企業はまだオープンウェイトモデルへの移行が進んでいないことや、トップダウンでの意思決定が有効に機能する傾向がある点、さらに米国に比べてマイクロソフト製品の導入企業が多い点などを指摘した。これに対しNotionは、Microsoft TeamsやGoogle Suiteなどと連携し、それらの上位に位置する中立的なコンテキストレイヤーとしての役割を担っていくと語っていた。








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